びわこジャズ東近江 2019

投稿日: カテゴリー: 未分類

平成を締めくくるジャズフェスティバル、びわこジャズ東近江2019 が開催されます。そして今回も「近江酒造ステージ」で音響を担当します。

昨年まで近江酒造のステージは 1日だけでしたが、今年は 28日と 29日の両日ステージが置かれれます。

近江酒造・ステージ(4月28日)のプログラム
• 12:00~12:40 テケテケチルドレン
• 13:00~13:40 サックスだけじゃないアンサンブルにこにこ
• 14:00~14:40 アカペラグループ「トライアングル」
• 15:00~15:40 T.jam +伶
• 16:00~16:40 HOLLY & ACTIVE MAMA

近江酒造・ステージ 4月29日 のプログラム
• 11:00~11:40 フォークグラス
• 12:00~12:40 AKIYO BAND
• 13:00~13:40 ビタースウィート
• 14:00~14:40 じゅまみん
• 15:00~15:40 Takano&Miyuki

びわこジャズ東近江の音響のお手伝いを始めたのは 2011年(第 3回)からですので、今年でもう 9年になります。また近江酒造ステージを担当するのは今回で 7回目です。

またこの近江酒造会場では、 「近江酒造蔵まつり2019」が同時開催されます。

この「近江酒造蔵まつり2019」では、近江酒造による「鏡開き、蔵見学、新酒の試飲、酒商品の即売」が行われ、近江龍門、近江ねこ正宗、錦藍など近江酒造の商品がその場で買えます。また立ち飲みもできます。お酒の飲める唯一の会場です。

その他、バザーも行われ大変盛りだくさんです。昼食や休憩にも便利ですので、ぜひお立ち寄りください。

協賛バザー
・ 酒粕汁
・ちらし寿司
・ 唐揚げ
・ やきそば
・ おでん
・ たこやき
・ カフェ&ケーキ
・ クラフト手芸

では 28日と 29日の両日、さらにパワーアップした近江酒造ステージをお楽しみください。

びわこジャズ東近江 2018

投稿日: カテゴリー: ご案内

桜も散り春も盛りを迎えました。春と言えばコレです。今月 4月29日(日)と4月30日(祝)に開催される、びわこジャズ東近江2018 で、近江酒造・ステージ(4月29日のみ)の音響を担当いたします。

近江酒造・ステージ(4月29日)のプログラム
• 12:00~12:40 ビタースウィート
• 13:00~13:40 ダイヤモンドシュガー
• 14:00~14:40 響喜
• 15:00~15:40 エレキ大正琴DUOニコル
• 16:00~16:40 素敵ボーイズ

びわこジャズ東近江のお手伝いを始めたのは 2011年(第 3回)からですので、今年でもう 8年になります。また近江酒造ステージを担当するのは今回で 6回目です。

なおこの近江酒造の敷地内では、第2回 「近江酒造蔵まつり」が同時開催されます。

この「蔵まつり」では、近江酒造による「蔵びらき&鏡びらき蔵出し即売会」が行われ、近江龍門、近江ねこ正宗、錦藍…近江酒造の商品がその場で買えます。また立ち飲みバー (11:00~16:30)もありたいへん盛り沢山です。

その他、バザーも行われていますので昼食や休憩にも便利です。

協賛バザー
・ 酒粕汁(無料)
・ちらし寿司
・ 唐揚げ・おでん
・ やきそば
・ おでん
・ たこやき・シフォンケーキ
・ あかねちゃんあられ
・ カフェ&ケーキ
・ クラフト手芸

という事で、今年の近江酒造ステージはさらにパワーアップしています。

小型化した A5 を軽量化–ドライバーを選ぶ

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

A5 小型化品の軽量化に向けて、使用する高音ホーンをいろいろ試しましたが、ホーンの重さはどれも今までのものと大差無いため、軽量化の成否はドライバーの重さに依存します。

ドライバーをサイズダウン

ドライバーのサイズを比較

左:ALTEC 299 13.8kg

中:ALTEC 802-8G 3.2kg
右:ElectroVoice DH3 1.9kg
* 写真の 299 は YAMAHA 向けモデル

現在使用しているラージフォーマットの ALTEC 299-8A ドライバーの重さは、13.8kg です。ALTEC 511B ホーンに標準的に使われるスモールフォーマットの 802-8G は 3.2kg ですのでこれに代えるだけで 10kg も軽くなります。しかしこの 802-8Gの許容入力は 8W(500 Hz – 20 kHz 連続ピンクノイズ)しかありませんので安心して大きな音を出せません。

大きな音を出す為には、耐入力の大きなドライバーを使うか又は耐入力の大きいダイアフラムに交換する事が必要です。ドライバーは ALTEC のスモールフォーマット(1インチスロータ)であればどれでも使えます。またアダプタを介せば JBL やその他のメーカのものも使用できます。
またダイアフラムは、今でも純正品や社外品が販売されており、いろいろなものが簡単に手に入ります。802-8G の純正ダイアフラムは真空管アンプの全盛期に開発されたもので、耐入力は 8W しかありません。新しい世代のものであればどれを選んでも耐入力は上がるはずです。とはいうものの耐入力が示されていないものが多く一抹の不安は残ります。
という事でまず、手持ちのドライバーとダイアフラムをいろいろ試してみました。ドライバーのの能力を引き出す為には、イコライジングが必要になりますが、ここでは手間を省く為にフラットな状態での比較に留めています。

ドライバーの選択肢

手元にあった 11種のドライバー

マウントアダプタを使えば、スクリューマウントのElectroVoice DH3 を 511B ホーンに取り付けられる。

まず手持ちの ALTEC、JMTEC、JBL、CORAL、Fostex、Victor、ElectroVoice 等のドライバーの音を比較してみました。

ALTEC 802-8G:
ふくよかな中音と明るくヌケのよい高音。34647  アルミダイアフラムとアルニコ磁気回路による典型的な ALTEC サウンド。
ALTEC 802-8D:
ALTEC
A7 と共に 1954 年に登場した 802-8G の一つ前の製品。タンジェリンフェイズプラグが導入された 802-8G と聴き比べると、やはり高域は伸びきっていない。
ALTEC 902-8G とその組込用:
802-8G のマグネットをフェライトに変更した製品で、外装を簡素化した組込用の製品もある。802-8G と比べるとふくよかさはいくらか失われているが、全体的には 802-8G と大差ない。
JBL LE-85:
ダイアフラムを 2421 純正のチタン製のものに交換。歪感の少ないハイファイサウンドで、今回試したものの中で最もワイドレンジ。
JBL Selenium D220TI :
ブラジルで生産された安価な JBL ブランドの製品。アルミのダイアフラムらしく音はふっくらしているが、すっきりせず浮腫んだような印象を受ける。
JMTEC:
オリジナルダイアフラムが断線しており本来の音は不明だが、ドライバー自体は ALTEC よりハイ上がりに設計されているようで、高域がダラ下がりのダイアフラムを使ってもそこそこバランスがとれる。
Fostex D252:
クールで爽やかな印象の音。線は細いが刺激的な音はしない。
Victor PS-D311:
中音は太く高域がダラ下がり。音は滑らかなので高域補正すれば使えそう。

CORAL M-100:
ALTEC 802-8G よりもやや細身ではあるが 802-8G のようなふくよかな中音とヌケの良い高音が出る
。802-8G よりも 2-3db 高能率。アルニコマグネット。
CORAL M-104:
CORAL M-100 のマグネットをフェライトに変更してコストダウンしたような製品。M-100 と比べると全体的に音が薄くなっており、M-100 のような中音のふくよかさは大分失われているが、それでも十分に良い音がする。
ElctroVoice DH3:

わずか 1.9kg の ElectroVoice 定番ドライバー。ダイアフラムがチタンであるにもかかわらず ALTEC に近いバランスの骨太い音がする。サードパーティー製のチタンダイアフラムに交換すると、高域が伸び、ハイファイサウンドに一変する。802-8G より 3-4db 高能率。外観からは想像できない本格的な音。

以上、ここでの音質確認では、各ユニットの規格を無視して、ALTEC 標準回路の 500Hz のクロスオーバーネットワークを使いましたが、ユニットの規格に従い 1kHz 以上で使う場合には音の評価はだいぶ違ってくるはずですので、ここでの評価をそのままうのみにはしないでください。

尚 CORAL、Fostex、Victor のドライバーは、入手しやすい ALTEC または JBL のダイアフラムとの互換性が無く、メンテナンスが困難です。尤も、アダプタの併用で市場に出回っているほとんどの 1インチドライバーが使えますので、あえてこのような骨董品を使う必要はありませんが・・

アルニコとフェライト

今回聞き比べたドライバーの中ででは、ALTEC 802-8D/802-8G、JBL LE-85、CORAL M-100 の音が良かったが、これらは全てアルニコマグネットが使われています。これらはどれも、柔らかくて透明度の高い音がします。これはウーファーでも同じで、アルニコの JBL 2220B とフェライトの 2220H を比べると同様な音の違いがみられます。どうやらアルニコ時代に丁寧に作られた製品には、音の良いものが多いようです。しかし古いものは音が良くても耐入力が足りず、安心して使えるものはほとんどありません。

ダイアフラムの選択肢


ヤフオクやアマゾンに 5,000円以下の価格で出品されている互換品。音色は純正の 34647  に近く、高域補正により 34647  に近い帯域バランスを得る事ができる

手持ちの 7種類のダイアフラムを 802-8G に取り付けて音質を比較しました。
ALTEC の Pascalite 26420 ダイアフラムはアルミの 802-8G 純正(34647)を比べて高域がダラ下がりだが歪感は少ない。高域補正でバランスが取れますが 34647 のような明るくヌケの良い音はしません。Synbiotic 34726 ダイアフラムは純正アルミの 34647 より高音が出ませんが 26420 のようにダラ下がりではなく肩が張っているので、さほどハイ落ちには聴こえません。
Radian 1228 は線が細く高域がダラ下がりで、聴きなれた ALTEC の音とは大きく異なります。After Market の名で売られているもののうち、アルミ製のものは高域ダラ下がりで補正無しでは使えませんが、チタン製のものはフラットな特性を持ち歪が少ないクリーンな音がします。
またヤフオクに出品されていた無名の安価なアルミ製のダイアフラムを入手して試したところ、意外にも 純正の 34647 に近いバランスの音がしました。この無名のダイアフラムはアマゾンにも出品されています。
平均的に、アルミ製のものはチタン製よりも能率が高く ALTEC オリジナルに近い音がします。またチタン製のものはアルミ製のものよりも高域が伸びており端正な鳴り方をします。
なお、ここで紹介したダイアフラムのうち Synbiotic 34726 以外は新品の入手が可能です。

マウント変換アダプタ

最近、いろいろなマウント変換アダプタが入手ができるようになり、ドライバーとホーンの自由な組み合わせが可能になりました。特に重宝しているのは、エミネンス社の S2B-A と B2S-A です。これは 1インチのスクリューマウントと ALTEC 2穴/JBL 3穴を相互に変換するものです。さらに S2B-A に B2S-A をねじ込んで使うと、ALTEC 2穴とJBL 3穴を相互に変換する事ができます。これを使えば市場に出回っているほとんどの 1インチドライバーを ALTEC 511 タイプのホーンに取り付ける事ができます。なおこのアダプタは、サウンドハウスから 1,000円以下の価格で入手できます。

規格外のドライバーを使う

HFD-651-8

スロート径をスモールフォーマット(1インチ)に変換する事により、511B ホーンにラージフォーマット(1.4インチ)のドライバー取り付ける事ができます。TOA のHFD-651-8(旧製品)はラージフォーマットですが重量は ALTEC 299 より3.8kg 軽い 10kg です。しかもダイアフラムは ALTEC と互換性があります。ALTEC 純正の変換アダプタは 21216 という品番で GPA(Great Plains Audio )から入手できましたが、納期まで待てなかったので自作し、今もこの自作品を使っています。

この TOA の製品は ALTEC の音を継承しており耐入力も明記されているので、安心なのですが、できればもう少し軽くしたいところです。なお写真に写っているダイアフラムは TOA のものではなくファンテックから購入した ALTEC 用のチタン製のものです。

TOA HFD-652

TOA には ALTEC の規格通りに作られた HFD-352 と HFD-651 HFドライバーがありますが、単体販売されていないものの中には、ALTEC には無い中途半端な規格のものがあります。

GS-10/30-SD の高音ホーン部のスロート径は 20mm くらいであり、ダイアフラムは ALTEC スモールフォーマット規格のものが使われています。また組込み用の HFD-652/HFD-653 のスロート径は 30mm くらいで、これには ALTEC ラージフォーマット規格のダイアフラムが使われています。 この HFD-652 と HFD-653 は防塵メッシュの有無以外は、ほとんど変わらないように見えます。重さは 7.5kg で、ALTEC 299 の半分強ですのでこれを使えばだいぶ軽量化できます。

そこで、スロート径を 30mm から 25mmくらい(1インチ)に縮めるアダプタを作ってホーンに取り付け音を確認したところ、A7 オリジナルの 802-8D/802-8G のバランスに近く、無補正で使える事が分かりました。

このドライバーの重さはちょうど 802-8G の 2倍であり決して軽くはありませんが、パワーハンドリングと保守性、および ALTEC サウンドの継承といった観点から、これが最良の選択であるとの結論に達しました。

スケールダウンの成果

今まで使っていた 1.4 インチ(A5・ラージフォーマット)から1 インチ(A7・スモールフォーマット)への移行で高音部が軽量化できました。
TOA HFD-652 を付けたホーンに持ち運びの為の木枠を取り付け、重さを計ったところ 21kG でした。今までのものが 27kg ですので 6kg 軽くなった事になり、運搬や設置がすこしは楽になるはずです。
写真の下に写っているのが今までのもので、その上にあるのが今回のものです。両者を比較すると奥行が短くなっているのが分かりうます。また水平指向性も 60度から 90度に広がりました。

新旧ホーンの大きさの違い

また ALTEC 音の継承を前提とするとこれがベストの選択ですが、その拘りを捨てると別の選択肢もあります。
今回の試みの過程で、JBL LE85(実質的には 2421)と Victor  HU-5090 の音の良さを確認しており、機会があればこれも使ってみたいと考えています。

LE85 と HU-5090

ワイドレンジで歪感の少ないハイファイサウンド。
LE85 のダイアフラムは 2421 用の純正品(チタン)に交換。
ホーンとドライバーの合計重量は 17kg だが持ち運びの為の木枠の重さが 5kg あるので総重量は 22kgになる。

余談
このサイトではビンテージ ALTEC に拘りいろいろな試みを紹介しています。今回使用したスピーカユニットの規格は Voice of the Theatre が発売された 1945年にはすでに確立しており、その後ほとんど変わっていません。1945年といえば日本が戦争に敗れポツダム宣言を受諾した年です。アメリカ人は日本と戦争をしながらこんなものを開発していいました。
そしてさらに驚くべき事に、現在でもこの規格のダイアフラムやボイスコイル・コーン紙などが供給されており、これらを使って 70年以上も前に製造されたスピーカーをメンテナンスする事ができます。

小型化した A5 を軽量化–高音部を A7化

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

TOA LSC-711 エンクロージャーによって ALTEC A5 が、何とか一人で持ち運べる大きさになりました。しかし高音部のドライバーが本物の A5  のままなのでたいへへん重く、ウーファーの上に乗せるるのに手間取ります。そこで高音部を A5 の ラージフォーマット(1.4 インチスロート)から A7 の スモールフォーマット(1 インチスロート)へスケールダウンする事により軽量化する事にしました。

なお ALTEC の A7 と A5 は高音ホーンのスロートサイズで区別されます。ALTEC A5 のA5 たる所以であるラージフォーマットを捨てる訳ですから、この試みは A5 から A7 への転向に他なりません。

500Hz から使える 511B ホーンを使う

本物の ALTEC A7 には 511B ホーンによる 500Hz クロスの製品と、811B ホーンによる 800Hz クロス の製品があります。811 は 511B よりもだいぶ小さくて軽いのですが、500Hz クロスの音と 800Hz クロスの音との間には無視し切れない違いある為 500Hz から使える 511 タイプのホーンを使う事にします。

511B ホーンの音

ALTEC A7  で古いジャズのレコードを聴くと、それぞれの楽器の音がやけに生々しく聴こえます。これは音源に対する忠実度が高いというよりはむしろ、511B ホーンの共振によって、倍音が補われた結果であると言えます。
511B ホーンがどれだけ激しく共振するかは、ホーンを手で叩いてみるとすぐに分かります。しっかり固定すると大分ましにはなりますが、固定しないまま前方のフィンのあたりを叩くと、金属的な共鳴音が 5秒くらい鳴り止みません。まるで打楽器のようです。ちなみに A5 の 311 ホーンはデッドニングされており、このような共鳴は起こりません。
この共鳴音が音源の再生音を補い、音の鮮度を向上させます。しかしこの共鳴音は、同時に鳴っている他の楽器音に対しては雑音になり、音を濁らせます。そしてこの悪影響は楽器の数が増えるほど顕著になります。
このホーンの鳴き(共振)が明るく艶やかな A7 の音の源ではあるのですが、大きな音出す PA 用には不向きであり、511B に手を加えるか、または他のホーンを使うかの選択が必要になります。

ホーンの比較と選択

そこでまず、手元にある 511B のデッドニング品と他社製の互換品の音を比較してみました。

ALTEC 511B オリジナル

 手が加えられていない状態の 511B ホーン。ホーン鳴きが音作りに生かされている。肉厚が薄く全域にわたって良く鳴き、明るく艶っぽい音がする。単音は鮮やかに引き立つが音数の多い場面では騒がしく聞こえる。また強度が不足している為か、基音域(1KHz 以下あたり)の音が薄い。この素の 511B は音も作りも華奢であり、大音量には向いていないように思える。
重量:約 6kg

ALTEC 511B 軟質材でデッドニング

本物の 511B の表面にシリコンゴムのようなものが厚く塗り付けられており触るとプニュプニュした感触。材料が柔らかいので補強には役立たないが、発生した振動は良く吸収できそう。素の 511B と比べると、音のモヤつきが消えすっきりしているが、511B 特有の高域の煌びやかさは消失。全体的に音はおとなしいが ALTEC 特有の艶っぽさは保たれている。
重量:約 9kg

ALTEC 511B 硬質材でデッドニング

本物の 511B の表面にシーリング材のようなものが厚く塗り付けられている。硬い素材でホーン全体を包み込む事によりホーを補強し共振を抑えている。素の 511B と比べると、音はすっきりしており全域にわたってバランスと個性を保ちつつ共振が抑えられている。ALTEC 特有のの明るさや艶っぽさも健在。ALTEC の音に拘るのであればこれが一番良さそう。
重量:約 9kg

JMTEC(ジムテック)互換品

ALTEC とよく似た製品を製造販売していたJMTEC の Queen of queen に使われていたホーン。511B とほぼ同じ形状だがフランジ部とフィンの形状が異なる。511B と同様にデッドニングされていないが 511B よりも共振は少なくすっきりした音がする。また高域の煌びやかが抑えられており、音は 511B よりおとなしい。
重量:約 5.5kg

JVC 互換品 HU-5090

JVC の A7 クローン S-660 に使われていた 511B と同形状のホーン。肉厚が 2倍近くあり見るからに頑丈。基音域(1KHz 以下あたり)の音は太く腰があり、ウーファーとの繋がりが良い。共振が少ないため音は極めてクリーン。またデッドニングされていないので金属ホーン特有の輝きが失われていない。ALTEC サウンドに拘らなければこれが一番良く、有力な選択肢の一つ。
重量:約 10.5kg

このように、ALTEC 511B とそのデッドニング品、および互換品 2 種類を試しましたが、511B はデッドニングされたたものでも、元々の音の個性が大きく損なわれず、聴きなれた ALTEC サウンドを保てれています。
また、511B ホーンは豊富な倍音に対して基音域が薄い傾向があり、中音は痩せた音に聞こえます。これを補う為にウーファーの高域を被せて膨らみを持たせています。迫力のある 511B の外観からは、太い中音を想像しがちですが、実際は ALTEC の中音の太さはウーファーの助けによるものです。500Hz から 1KHz の帯域で、中音ホーンのクリアな音にウーファーの張りのある音を被せる事により、力強さと浸透力を両立させるというのが ALTEC の音作りのエッセンスです。

という事で、どれを使うか決めなくてはなりません。今回試した 5 種類のホーンにはそれぞれに長所と短所があります。客観的な音質評価で選ぶなら JVC  の HU-5090 がベストなのですが A7 サウンドに拘るなら、硬い材料でデッドニングされた 511B ホーンという事になりそうです。

そこでひとまず、この 511B のデッドニング品を使う事にして・・・to be continued.

TOA の ALTEC 互換品

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

1960年代 ALTEC 製品の輸入は阪田商会(現在のサカタインクス・海外事業部はシークス㈱に分離独立)が行っていました。そのころ阪田商会で輸入を担当者していた知人の話によると、当時 ALTEC スピーカーは高価なうえ輸送コストがかかるので、国内ではユニットだけを購入し、国産箱に入れて利用したいというニーズが強かったようです。

また輸入業者としてもユニットで輸入する方がマージンを取りやすく、その後総代理店になったエレクトリでは、国産箱を用意して輸入したユユニットを組み込んで販売していました。尤もこれは ALTEC に限らず、ジムラン(JBL)やTANNOY でも同様でした。

一方で国内のスピーカーメーカーも、この 市場に向けて商品を投入し始めていました。多くのメーカーが ALTEC  とよく似た形の大型スピーカーを製品化しましたが、その中でも TOA の動きは際立っていたように思います。

TOA  の製品には ALTEC製品と完全に近い互換性がありました。ユニットの取付寸法だけでなく、ウーファーに使われているコーン紙や HF ドライバーのダイアフラム(振動版)の規格もALTEC と同じです。このため、TOA のドライバーに ALTEC のホーンを取り付けたり、TOA のドライバーのダイアフラムを ALTEC 互換品として販売されているものに交換する事ができます。

という訳で、当方では ALTEC と TOA とをほとんど区別せず混在させて利用しています。そこでこの ALTEC と互換性のある TOA 製品をいくつか紹介したい思います。

ALTEC との互換性が高い TOA Gシリーズ        仕様書検索

ALTEC と良く似た形の製品がラインナップされている。しかし高音部にはセクトラルホーンではなく、ラジアルホーンが使われえいる。また GS-1 と GS-2 は 3 ウェイ。GS-3 は30cm ウーファーを使って A7 を小型化した、ALTEC には無い製品。当方ではこの GS-3 のエンクロージャー LSC-711 を利用している。そして GS-10 は GS-3 のユニットを、小さな箱に詰め替えたような製品。


* 上図は TOA 株式会社の仕様書から転載

HLS-3806
GS-1/GS-2 の38cm ウーファー

ALTEC 515 シリーズを想わせる外観。ALTEC の 16インチフレームと同じマウントサイズ。515用のリコーン用コーン紙と見比べても形状に違いは見当たらず、そのまま使えそうに見える。音質バランスは 515 よりも低音寄りの印象。

HFD-651 と HRH-851
GS-1/GS-2 の 高音ユニット

貴重な 1.4 インチスロートのラジアルホーン。メトリックのネジが使われているが取付ピッチは同じであり、ホーン・ドライバーともに ALTEC との互換性がある。ダイアフラムは ALTEC のラージフォーマット用のもの が使える。

GS-10 と 30-SD

GS-10 は G シリーズ唯一のステージモニター。ウーファーは 30cm の HLS-3006 で高音ホーンは HRH-311低音部・高音部ともにユニットのクオリティは高く、たいへん高音質。30-SD は別シリーズだが、同じ HF ドライバーとホーンが使われておりこれも音が良い。30-SD のウーファーにはプレスフレームの、コストダウンされたものが使われている。

GS-10 に使われている HRH-311 と HLS-3006

GS-10 に使われているユニット。高音ドライバーの品名は不明だが、ホーンはスロート径 22mm の HRH-311 で ドライバーの取付ピッチは ALTEC のスモールフォーマット( 1 インチスロート)と同じ。ダイアフラムは ALTEC と互換性がある。ウーファーの HLS-3006 は ALTEC 414 と同じマウントサイズに見える。

このように TOA 製品には ALTEC 製品との互換性があるものが多く、たいへん重宝しています。これらを入手して試してみるとどれも音が良く、これこそが「正しく進化した ALTEC の姿」なのではないか?と思ってみたりしています。

小型化された ALTEC A5の音

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

試行錯誤を繰り返した結果、ALTEC A5  の風貌を保ちつつ何とか一人で持ち運べる大きさまで小型化され、音質的にも納得できるものができました。しかし ALTEC A5 の音が再現できた訳では無く、まったく別物と言えるくらい違ったものになってしまいました。

音が似ているかどうかを数値で表すと、たぶん 10% くらいになるでしょう。ALTEC A5  の音は ALTEC の主力商品として、際立った個性を持った部品を使って練り上げられたものです。この為どこを変えても音は大きく変化し、特に今回のような模造品の寄せ集めでは、同じ音を望む術もありません。

しかしそれは A5 とは音の傾向が異なるという事であり、絶対的な音の評価ではありません。また A5 ではなくALTEC 製品の平均的な音の傾向に対しては、50% くらいの ALTEC 度を達成できているのではないかと勝手に考えているところです。

とはいうものの A5 の音への未練が無い訳ではありません。特に アコースティクな音源に対する A5 の音の生々しさは垂涎ものです。このため最近は HF(高音部)に日本で販売されていた ALTEC A5 の構成に近い、311-60 ホーンと288 用純正のアルミダイアフラムを使う場合が増えきています。このプロジェクトでは本物 A5 の代用品を目指していますので、純正のALTEC 部品は遠ざけたいところですが、さすがに純正品を使うと一気に ALTEC  度が高まります。

本物の ALTEC ホーンを使う

ALTEC 純正の 311-60 ホーンを使う機会が増えてきている。311-60 は 国内向け A5 に使われていた  311-90 の水平指向性を 60度に制限したものであり、311-90 より一回り小さい。仕様上は 300Hz から使える事になっている。サイズ的にもウーファーのキャビネットと良くマッチする。

288 純正ダイアフラム

この 288用の 純正ダイアフラム 23763 を使うとALTEC A5 の音に近づく。ALTEC 創業後、この 23763 は早い時期に登場し、長期に渡って使われた。音は明るく乾いており、Hi-Fi 調でヌケが良い。まさに A5 の音造りのエッセンスでありA5 サウンドの源泉。一度聴くとこれしか無い!と思ってしまうほど魅力的な音がする。ただし許容入力(連続ピンクノイズ)は 299用 25884 の 50W に対してこちらは 15Wと極めて小さい。この為、大音量が要求される現場では使えない。尚このダイアフラムは現在でも新品が入手できる。

ダイアフラムの選択肢

上-左:純正 299用 8Ω – 25884
上-中:純正 288用 8Ω – 23763
上-右:純正 291用 16Ω – 21531
下-左:互換品 アルミ製 8Ω
下-中:互換品 アルミ製 8Ω
下-右:互換品 チタン製 8Ω
互換品を含めて多くの種類のダイアフラムがあり、今でも新品で中手できるものもある。常用しているのはこの写真の右下に映っているチタン製のもの。A5 サウンドに拘らなければ PA 用にはこのチタン製のものが最適。写真に写っているものは 21531 を除いて新品が入手できる。

クロスオーバー周波数

大型の 2 ウェイスピーカーの場合、どうしても楽器の基音や低次の倍音付近ででクロスさせることになりますので、クロスオーバー周波数の選び方によって大きく音が変化します。

500Hz、800Hz、1200Hzあたりが良く使われますが ALTEC A5 は 500Hzでクロスさせており、A5 のクリアな中音はこの低いポイントでのクロスによよって実現されています。尤も実際にクロスポイントを変えてみると、ALTEC系のシステムではあまり大きくは変わらないという印象を受けます。しかし良く聴くと周波数が上がるほど中音の明瞭度が失われ、平面的な音に変化していくのがわかります。

ALTEC A7 にはクロスポイントが 500Hzのものと、800Hz のものがありますが、ある映画館で 500Hz のものから 800Hzのものに交換したところ、任侠映画に主演する高倉健さんの声が耳元に迫って来ない、というクレームが出たそうです。もし本当にこのような違いが有るのであれば、マフィアのボスの声も 800Hz ではダメかも知れません。またジャズを聴いても同じような違いが出るかもしれません。しかし一方、これよりも高い 1200Hz あたりまで上げると音は引き締まり、ビート感のあるポップス向きの音に変化します。

N501-8ALansing Heritage から引用

50年ほど前にこんな例え話を聞いた事があます。ALTEC は 100m 先で「音楽」が聞こえた。ジムラン(JBL)は 100m 先で「音」が聞こえた。TANNOY は100m 先で「音」が聞こえなかった。というものです。真偽は別としてこれは三者の違いをうまく言い当てていると思います。この頃 ALTEC のクロスポイントは 500Hz で JBL と TANNOY は 1200Hz 付近でした。スピーカーユニットの能力もさることながらこのクロスオーバーポイントの設定が音の到達力に大きく影響しているように思います。

というわけで 500Hz でのクロスは、小型化した代用品であっても譲る事はできません。いずれにせよ HF(高音)部についてはホーン、ドライバー、ダイアフラムに多くの選択肢がありますので、ステージの内容に合わせて使い分けています。

ALTEC A5 を小型化する

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

ALTEC A5 を持ち運べるサイズに小型化する

太平洋戦争終結の年に発売された ALTEC A5 スピーカー。その音の良さは今も色あせる事なく、心地良い音を街角に 届けるのには最高の PA スピーカーです。しかし気軽に持ち出せる大きさではなく、この大きさを何とかしないと使いものにはなりません。そこで代用できる部品を探し、それを使って小型化する事にしました。

そしてはじめに取組んだのは、巨大なALTEC の HF(高音)ホーンの代用品を探す事でした。

HF ホーンを試す

まず、日本向け ALTEC A5 の標準ホーンとして使われていた 311-90 の代わりに使えそうなものをいろいろ試してみました。最初に試したのは Fostex H251 で、これは何度も現場で使用しました。
その他に YAMAHA の FRP 製 CD ホーン、TOA の HRH-851 ラジアルホーン、ALTEC  MRⅡ 594 564 Mantaray ホーンなどを試しました。しかしこれらはいずれもサイズ、または音質的に満足できるものではありませんでした。

ALTEC 811 似の 1.4 インチホーン

そして、 そうこうしているうちに、オーディオショップで ALTEC 811 のスロート径を 1.4 インチに変更したような形状の、無名のセクトラルホーンを見付けました。すぐにこれを入手して試してみたところ、音が良いうえ手頃な大きですので、これをメインに使う事にしました。

Fostex H251 + ALTEC 299

2 インチのスロート径を 1.4 インチに変換。カットオフ 250Hz 。力がありよく通る音。JBL 4560 互換ウーファーボックスと組合わせで使用。大きさは ALTEC 311-90 と大差なく小型化が不充分。

ALTEC CD ホーン & TOA ホーン

TOA の HRH-851 ラジアルホーンについては、音は良いが横幅が広すぎて小型のウーファーボックスに乗せるとはみ出してしまう。ALTEC の CD ホーンはプラスチック臭い音に違和感が残る。

YAMAHA CD ホーン + JAY-2299

YAMAHA のスピーカーシステムに使われていた FRP 製 CD ホーン。ドライバー JAY-2200 はA LTEC 299 の OEM 製品。高域はダラ下がりで、音のヌケは良いが金属ホーンのような明るさはは無い。

ALTEC 311-90と811 似の小型ホーン

ALTEC 311-90 と、1.4インチスロートの 811 風セクトラルホーン。粒立ちがよく明るい音。311-90 よりかなり小さいが 800Hz 以上でしか使えない。ルックス的にも ALTEC 度は高い。

ウーファーとの組合せ

HF ホーンについては他にもいろいろ試ましたが、ALTEC 311-90 の代用品としては、音も形も 811b に似た小型のセクトラルホーンがいちばん似合います。そこで、まずはこれを常用する事に決め、組み合わせるウーファーを用意しました。できればウーファーボックスにもホーン型を使いたいところですが、どうしても大きくなってしまいますので、とりあえずバスレフ型のものを使う事にしました。
また、手間のかかる自作は避けできるだけ既製品を入手し、その低音部だけ使うようにしました。しかしユニットを ALTEC 515-8GHP に交換したいので、TOA 製品以外には使えるものがほとんどありません。

ALTEC 811 風の小型代用ホーン + バスレフ型ウーファー
15インチ(38cm)用ボックスについては、TOA 380-SE を入手し、ウーファー515-8GHP に交換しウーファーだけを使用。そして片側 2台を縦や横に設置して使用。この頃のTOA の製品には ALTEC製品との互換性があるものが多い。 12インチ(30cm)用ボックスは自作し ALTEC ER12S を組込んた。 サブウーファーは EV Eliminator のキャビネットに JBL E140 を組込んで使用した。

ホーン型ウーファーと組合せる

その後オークションサイトで、12インチサイズのフロントロードボックスとバックロードボックスを見付けて入手しました。どちらも 15inchサイズの本物を比例縮小したような形状になっており、見た目のバランスも良好です。サイズに合わせて音もだいぶ縮んでしまっていますがなんとか使えるレベルに納まっています 。
という事で、すぐにこのフロントロードホーンのボックスを常用するようになりました。
なお、このスピーカーボックスは TOA の既製品ですが、バスレフ開口部にダクトと追加し共振点を 48Hz に下げて使っています。

ホーン型ウーファーボックスとの組合せ

フロントロードホーンのキャビネットは TOA GS-3 に使われていた LSC-711

マルチセルラー型ホーン

ALTEC A5  の日本向け以外の製品には、セクトラルホーンではなくマルチセルラーホーンが使われていたそうです。セクトラルホーンの代用品についてはここまでに紹介したとおりですが、マルチセルラーホーンについてもいくつか試しました。 マルチセルラー型は高域が出ませんので、常用には向きませんが、男性ボーカルには良く合います。
なおこの、これぞ ALTEC という風貌のマルチセルラーホーンは、もちろん本物ではなく、日本の Pioneer 製 です。

マルチセルラーホーン 他

* この写真に写っているものは一部を除いて ALTEC 以外のメーカーによる 模造品です。

巨大な ALTEC がこんなに小さくなりました

ALTEC VOT の画像は、サウンド与太噺 より引用
ALTEC社 1945年のカタログ を併せてご覧ください。

ALTEC A5 と同じオールホーンの構成のまま縮小する事により、ビジュアル的にも 完成度が高まりました。この試みに於いては見た目が古くなることも進化の一つであり、ALTEC のレトロ感が再現できたことにより一区切りつける事ができました。このスピーカーをびわこジャズフェスティバル 2013 で投入し、その後のライブイベントではだいたいこの TOA LSC-711 エンクロージャーを使った A5 小型化品を使っています。

伝家の宝刀 – ER12S と EVM-12S

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

首尾よく手に入れたスピーカーの音が、期待通りで無い場合が良くあります。中音が痩せている事が多く、そのような場合にはウーファーを交換します。この対策に使うウーファーは ALTEC の ER12S という名の 楽器用のユニットで、ElectroVoice 社からも EVM-12S  SerieasⅡ(以下 SerieasⅡの表記を省略)の名で販売されていました。ほとんどの場合、これに交換するだけで使える音に一変します。

写真の右側のユニットが ER12S で左が EVM-12S Power Line。
EVM-12S Power Line は組込用の為ラベルが貼られていない。
Power Line ではない EVM-12S  と ER12S は 同じものと
されていますが全く同じではなく、 ER12S には
フランジ部の裏側にもガスケットがついています。

実は当方では元々、このスピーカをピュアオーデイオ用のミッドバスとして使っていました。これを使うようになったのは、スピーカーの自作で有名な新井 悠一氏が、同シリーズの 10インチユニット(EVM-10M)を使われていたのがきっかけでした。実際に使ってみると、中高域がに張りがある上にクリー-ンで、ALTEC の大型ホーンとの繋がりも良好でした。そこでいろいろと調べてみると 1980 年代に販売されていた ALTEC や ElectroVoice 製 12インチ PA スピーカーに使われていたウーファーは、ほとんどこの ER12S/ EVM-12S  である事がわかりました。

そのような訳で、このユニットが使われているスピーカーを入手したり、このユニットをチューニングに利用するようになりました。そしてその結果、今やこのスピーカーの音がすっかりマイスタンダードになってしまっています。

1980年代の後半、この 12インチ(30cm)ウーファーは、多くの市販スピーカーに使われていました。

ER12S は次のような ALTEC 製品に使われていました。

ALTEC 9872-8A

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:902 Type
HF Diaphragm:34647
HF Horn:MR931-12
Crossover frq.:3000
Sensitivity:99.5db
Power Handling:150W

ALTEC 937 Monitor

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:908 Type
HF Diaphragm:34726  Symbiotik
HF Horn:MR931-12
Crossover:frq. 3000
Power Handling:150W
Sensitivity:99db

また EVM-12S は次のような ElectroVoice 製品に使われていました。

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice FM1202 ER

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice SX200

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:
Crossover frq.:1.500Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

S1202 ER のクロスオーバーネットワーク

S1202 ER / FM1202 ER/ SX200 の 3機種共に、ウーファーと HF ドライバーは同じものが使われています。そして S1202 ER と FM1202 ER はキャビネットの形状以外は同じで、それぞれに ” ER “の付かない旧バージョンが存在します。またこれらの 3製品に使われているウーファー”EVM-12S Pro Line” は EVM-12S のハイパワー版です。そして SX200 には、イコライジングの為の 専用プロセッサ XP200A が用意されていました。

当方のオリジナルシステムにもこのウーファーを使っています。

ここまでに紹介したような既成品だけでなく、当方オリジナルのスピーカーシステムでもこのER12S/ EVM-12S  を使っています。

大きなスピーカーの上にセットされている SX200 のウーファーはもちろん EVM-12S ですが、その下の大きなフロントロードホーンとバックロードホーンのにも ALTEC 版の ER12S を使っています。

大型の金属ホーンとの音質的な繋がりを持たせる為には、ウーファーにも明るく張りのある中高音が必要です。しかし ER12S / EVM-12S 以外には、なかなかこのような音のスピーカーが見つかりません。JBL や EV のユニットを色いろ試してはみるのですがどれもしっくり来ず、結局はこのユニットに戻ってしまいます。

この他、Classic Pro CP12Ⅱのウーファーも ER12S に交換してあり、周囲はこにユニット 一色に染まっています。まさに伝家の宝刀を抜きっぱなしの状態です。

CP12Ⅱの解剖とチューニング

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

Classic Pro CP12Ⅱ の中古品を 3 台入手し、チューニングを試みました。その結果、ウーファーの交換と、HF の音圧 1-2db  下げただけで音質が劇的に改善され、お気に入りの逸品になりました。

チューニングに先立ち現物の音と構造を確認し、さらに製造元の web をあたって素性を調べました。音質については、sx200 同様にハイキーなバランスですが sx200 よりも 歪感が少なく、クリーンな音に聴こえます。また、製造元は Beta three ブランドのスピーカを販売している Elder Audio Manufacture.Co.,Ltd. という中国の会社であることがわかったので、このメーカーのホームページをあたってみたところ、以下の情報がありました。

Beta three ES212/85 の仕様

Construction Plywood
Transducers 1 x 3” HF Compression Driver + 1 x 12” LF
Crossover 2.5kHz
Frequency Response (-3dB) 60Hz-16kHz
Rated Power 250W (RMS)
Sensitivity (1W @ 1m) 97dB
Rated Impedance
Dispersion (H x V ) 80° x 50°
Connector NL4
Dimensions (W x D x H) 397mm (15.6”) x 370mm (14.6”) x 600mm (23.6”)
Packaging Dimensions (1 pieces/pack) 505mm (19.9”) x 480mm (18.9”) x 720mm (28.4”)
Net Weight (1 pieces/pack) 25kg (55lb)
Gross Weight (1 pieces/pack) 29kg (63.8lb)

これぞまさしく Classic Pro CP12Ⅱ です。尤も Classic Pro CP12Ⅱ はサウンドハウスのプライベートブランドで販売されている製品なので、カスタマイズされている可能性もありますが・・・

この仕様書によると、クロスオーバー周波数は 2.5kHz になっています。予想よりも高めなので 取扱説明書 を見てみると、こちらでは 2.2kHz になっていました。また Rated Power は Classic Pro CP12Ⅱ  の 500W に対してこちらでは 250W (RMS) になっています。おそらくこれは瞬間最大入力と RMS の違いだと思われます。

さらに、より詳しく知るために 取扱説明書 を見てみるとHF ドライバー(ツイータ)のダイアフラムの材質がチタンであるとされています。一方でこのスピーカーに使われているドラーバーと思われる 75ED36-8N-LM の仕様書 では Al Mg Alloy (アルミとマグネシウムの合金)となっています。これについてはカスタマイズされている可能性があります。いずれにせよこの製品に使われているドライバーはハイエンド製品にしか使われていない 1.5 インチ仕様のものであり、これがこのスピーカーの最大のアドバンテージであると言えます。

また製品のスペックはさておき現物を見ると、全く手抜きせず音質を追及した製品である事が実感できます。ダイキャストフレーム・18cm 径のマグネットのウーファー、1.5 インチスロートの大きな HF ドライバー(ツイータ)、大型空芯コイルを使ったネットワークなど、ハイエンド並みに投入された物量を目の当たりにし感動すら覚えます。さらに HF ドライバーのプロテクターは PTC(ポジスタ)や電球を使ったパッシブなものでは無く、アクティブタイプのものが使われています。回路は拾っていませんが使われている部品を見た限りでは、入力信号を整流しトライアックでシャットダウンする仕組みになっているようです。これなら瞬間的な過大入力による機械的な破損も防げるはずです。

そしてこの安価なハイエンド仕様のスピーカーの音についてですが、聞きなれた CD 音源で音出しをしてみると、他の同種のスピーカーと同様にハイ上がりで中域の張りも足りません。そこでウーファーを伝家の宝刀 “ALTEC ER12S” に交換したところ中域も張り出し心地よいバランスの音に一変しました。

ウーファーを ER12S に交換

コイルを基板から外して補強桟に固定

さらにこの状態で音楽 CD を聞き込んたところ、プラスチックの小型 CD ホーン特有のチリチリした高音が気になり出した為、HF(ツイータ)のレベルを 1-2db 落しました。尤も野外ライブで使う場合には、このアッテネーションは不要かも知れません。

以上が CP12Ⅱの素性の調査とチューニングの顛末です。満足できる音に仕上がりましたが、このスピーカーには弱点もあります。その一つはネットワーク基板上のコイルの取付強度が不足しており、輸送中の振動で抜け落ちる事があるようです。今回入手したものも抜けてぶら下がっていたため、基板から取り外してキャビネットにネジ止めしました。

また、フロントグリルでいくらか音が変化します。グリルを外したものと比較するとはっきり違いが分かりますが、その差はあまり大きくないのでそのまま使っています。ちなみにこの製品の上位機種である CP15Ⅱ では、フロントグリルによる音の変化が極めて大きいため、フロントグリルを別のものに交換して使っています。

さらに、スピコンの接触不要が起こる事があります。この症状はCP12Ⅱに限らず Classic Pro の他のスピーカーでも普通に起こりますが、 Classic Pro のスピーカケーブルを使うと起こり易いようです。

さらに最後にもうひとつ、気になる社会現象として・・・巷では「Classic Pro のロゴを取り外して使う」のが正しい使い方とされているように思えます。当方では  Classic Pro の 中古スピーカーを各種あわせて 12本入手しましたが、ロゴがついていたのはそのうちの 4本だけでした。「Classic Pro は安物」というイメージが定着してしまっており「安物を使っている事を知られたくない」からだと思いますが、サウンドハウスのファンの私としてはイマイチ釈然としない想いが残ります。おわり

Classic Pro CSP12 と CP12Ⅱ

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

楽器や音響機材の格安通販で有名な サウンドハウス。品揃えは極めて豊富で、商品はアマゾン並みにスピーディに届きます。全てのサービスがあり得ないほど充実しており、当方でも良く利用しています。

スピーカーについても、完成品・ユニットともに多くの製品が販売されており、特にプライベートブランドである Classic pro 製品のコストパフォーマンスは驚異的に高く、人気ががあるようです。

そしてその人気を反映し、時折出向くライブイベントでも Classic pro のスピーカーをよく見かけるようになりました。中でも CSP12 というプラスチックボックスのスピーカーが多く使われており、バカ売れしているようです。おそらく ElectroVoice Sx300 の代用品をして買っている人が多いのではないかと思います。

Classic Pro CSP12 サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:50Hz-18kHz(-3dB)
40Hz-20kHz(-10dB)
■許容入力:600W
■インピーダンス:8ohms
■出力音圧レベル:97dB
■最大出力音圧レベル:112dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:1.7″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:42W×62H×38Dcm  ■重量:19.6kg

ライブ会場で聴く限りこの CSP12 の音は、当方で使っている SX200 より帯域バランスが良く滑らかです。一方、大音量では中低域が潰れたような音になり、半ば破綻気味に聞こえます。アンプのパワーに対してウーファーのリニアリティとエンクロジャーの硬性が足りないのかも知れません。どうやら大音量にはあまり向いかない上品なスピーカーのようです。

そこで Classic pro のラインナップを調べてみると、12インチ(30cm)クラスの製品として、CP12II という木製キャビネットのスピーカーがある事がわかりました。仕様書を見ると HF部(ツイータ)に 1.5 インチスロートのドライバーが使われており、2 クラスくらい上位の性能を狙った製品のように見えます。

Classic Pro CP12Ⅱ サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:60Hz-16kHz
■許容入力:500W
■インピーダンス:8Ω
■出力音圧レベル:97dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:3″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:40W×60H×37Dcm
■重量:25kg

そして、この魅力的なスピーカをヤフオクで現物を入手し調べてみたところ、キャビネットやネットワークもしっかりしており、予想以上に音も良好でした。いろいろ調べてみると、基本的にはフライング仕様で設計されており、可搬性よりも音質が重視されているように見えます。

そして当方では現在、このスピーカーのウーファーを ALTEC の ER12S に交換しフロアモニターとして使っており、これによって 他の 12 インチモニターの出番はほとんどなくなりました。

このスピーカーは重いのであまり人気が無いようですが、品質の高さはタダモノではありません。

ElectroVoice Sx200 と Sx300

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

当方では、オーバードライブされた小型スピーカーの音に違和感を感じ、重厚長大なスピーカーを持ち歩いている訳ですが、小型スピーカーを全く使わないという訳ではありません。

いかなる現場であっても拘りを捨てるわけにはいきませんが、やはり運搬や設置に手間取る大型スピーカは現場のニーズに合わず、どうしてもプラスチックで軽量化された小型のスピーカーが必要になってきます。

そこで良く利用するのが、ElectroVoice(EV)の Sx200 です。このSx200 はすでに生産が終了しており、現在では後継機種である Sx300 に切り替わっています。この現行機種 Sx300 は Sx200 より 3kg 以上軽量化されており持ち運びは楽ですが、音質上の問題から当方では使っていません。

Sx300 – Google 画像検索より。Sx300 と Sx200 の外観に違いは無い

メインスピーカーにポールマウントし、サイドフィルとして使用

Sx300 は小規模な現場のニーズに良くマッチし、定番化しているスピーカーですが、その音はひどくシャリシャリしており、けたたましささえ感じます。一方、旧版の Sx200 は Sx300 と同様にハイキーな音ではありすが中音域に張りがあり、帯域が狭く音数が少ない音源に対しては何とか使えなくも無さそうに思えます。ただしこれは、サブウーファーやイコライジング無しに使った場合の印象です。

スピーカーシステムは、スピーカーユニット、クロスオーバーネットワーク、エンクロージャで音質がほぼ決まります。この 3つの要素のうち、Sx200 と Sx300 との音質差に最も大きな影響を与えてえているのは、ウーファーユニットであるといえます。この事は、Sx200 に Sx300 の ウーファーを付けてみるとすぐにわかります。

ちなみに Sx200 では ウーファー に EVM-12S、そして一方の Sx300 では DL12BFH が使われています。EVM-12S は楽器及びミッドバス用、DL12BFH はウーファーとして設計されているので、両者の音質に差が生じるのは当然です。

他の 2つの要素のうち、エンクロージャはポールマウントの受穴の径が多少異なる(SX200は少し小さくて窮屈)以外、ほとんど変わらないように見えます。またネットワークについては、両者間に違いが見られます。さらに両機種とも途中で一度設計変更がが行われ HF ドライバーの低域側のクロスオーバーポイントが上がっています。またホームオーディオ向けの製品とは異なりアッテネーターが入っていません。

以下は ElectroVoice 社の Sx200 and Sx200W Service.pdfSx300 – Service Data.pdf に載せられてている Sx200とSx300のクロスオーバーネットワークの回路です。いずれも、HF 用ハイパスフィルタのコンサンサの値がやたら小さく設定されています。これはアッテネータの代わりにコンデンサのインピーダンスを利用してアッテネーションと高域補正を行っているからです。この為、実際のクロスオーバー周波数は、スピーカーに並列に入っているコイルのインピーダンスがスピーカーのインピーダンスに近づくあたりになります。現在の PA スピーカーのはとんどがこのような設計になっています。

1998年11月以前に生産された Sx200

注:上記回路図のL3の定数は、たぶん誤りです。

1998年11月以降に生産された Sx200

注:上記回路図のC2の単位が誤っています。

1999年6月以前に生産された Sx300

1999年6月以降に生産された Sx300

という訳で、不本意ながら当方でもプラスチックで軽量化された小型スピーカーを使っています。しかしその軽量化の代償は音で支払わなくてならず、その代償を少しでも小さくするために敢えて旧製品である Sx200 を使っています。

注:このサイズのスピーカーは単独で良好な帯域バランスを得る事は困難ですので、イコライジングやサブウーファーの併用を選定に設計されています。よって音質の正しい評価にはこれらによる調整が必要です。ここでの音の評価は不完全なコンデシヨンによるものであり精密なものではありません。ちなみに SX200 では XP200という専用イコライザーが用意されていました。