アンビルコンサルティングのルーツ

投稿日: カテゴリー: CAD

アンビルコンサルティングのスタッフが CAD の販売を始めてから、もうかれこれ 四半世紀になります。今は Altium 専門店を営んでいますが、ここに至るまでには幾多の変遷がありました。

プロテルの販売が軌道に乗ってから数えても、20年以上経過しています。この間いろいろな製品の販売にチャレンジしてきましたが、今ふり返るとプロテルを開始してからよりも、それ以前の数年間の方が多彩で、変化に富んでいたように思います。

まず写真をご覧下さい。

1990年代始め頃のミドルクラスの製品

これらの販売から私たちの CAD ビジネスが始まりました。

この頃はほとんどが DOS ベースの製品でしたがMaxRoute だけが Wiindows (2.1)で動きました。

これは1990 年代はじめの頃の写真です。そしてここに写っているのが、私たちがプロテルを始める前の主力商品です。これを見て、ピンと来る人はかなりのベテランです。おそらく大方の人にとっては、見たことも無いものばかりだと思います。

 

この写真には、CAD システムを構成するハードウェアとソフトウェアが並んでいます。

前列には5.25 インチのフロッピーディスクが見えます。このころの外部記憶媒体としては、まだ 5.25 インチのフロッピーディスクが主流でした。フロッピーディスクはこの後、DOS から Windows への移行に合わせて、一気に 5.25 インチから 3.5 インチに切り替わったように記憶しています。後にプロテルの輸入を始めたころには、すでにメディアは 3.5 インチに切り替わっており、Advanced Scematic や PCB では、最初または初期の段階から 3.5 インチのメディアが使われたように記憶しています。

また、各製品のフロッピーディスクの前には 4 角いコネクタのようなものが置かれています。これはドングルと呼ばれるプロテクトデバイスであり、これをパラレルポートに差し込まないと、プログラムが起動しませんでした。

ここに写っている商品は、後列左から、

  1. Qualstar の MT 装置。 http://www.qualstar.com/
    これは、Gerber データを MT でやり取りするときに必要でした。1250 BPI と 6500 BPI の 2種類がありました。
  2. テクスパート製 T486 パーソナルコンピュータ。
    当時英語版 DOS ソフトウェアのプラットフォームとして安心して使用できる PC が入手しにくい状況でした。このため使用パーツを厳選して組み立てたオリジナル PC をCAD 用として提供していました。この PC ケースには当時はまだ無名であった Antec 社の製品を選びました。
  3. CRT モニター
    写真に写っているのは三洋電機製のものですが、機種の選定はお客さまにお任せしておりました。

続いて前列左から、

  1. Qualster MT 装置のドライバー/ユーティリティ(MT 装置の添付物)
  2. PADS PCB (16 ビット ソフトウェア。メーカは PADS → Mentor )
  3. MaxRoute オートルータ (メーカは Masstek → OrCAD → CADENCE )
  4. PC Gerber / ECAM (メーカは CSI → ACT → PADS → Mentor → )

これらのソフトウェアは今でこそメジャーな存在になっていますが、当時はまだ無名であり、まだこれらのソフトウェアを輸入販売しているところは他にありませんでした。ただし PADS は例外で、すでの 5 社の代理店があり混戦状態でした。

私たちはこれらの全ての CAD ソフトウェアに対して、英文マニュアルの全文が翻訳された日本語マニュアルを用意しました。当時の私たちは、日本語マニュアルの無い製品を販売するなどということは許されないことだと思い込んでいましたので、労をいとわずマニュアルの翻訳に注力しました。

しかし当時の外国製 CAD ソフトウェアでは日本語マニュアルが皆無に近い状態でしたので、翻訳の依頼や、マニュアルだけを購入したいという引き合いが数多くありました。これを受け、PADS Software 社からの依頼で、その後の PADS2000 マニュアルの翻訳も行いました。 またECAM の日本語マニュアルについては当時の大手 CADメーカ様にもご利用いただきました。

最前列に写っているのは、Omnikey Ultra と Logitech マウスです。当時のキーボードやマウスは、いかにも「コストダウンしました!」と言わんばかりのものが多く、このようなチープなものを避けると選択肢はそれほど多くありませんでした。Omnikey Ultra はAlps 製メカニカルキースイッチを使っていたのでキータッチが良く、また DIP スイッチでキー配列が変更できるなど多機能でした。また机の上で安定させるために金属のおもりが入れられているなど、他に類を見ない贅沢な仕様の製品でした。

ざっと振り返ってみましたが、この頃の PC-CAD 業界は、今よりももっと活気があったように思います。この後 Windows の時代が到来し、PC-CAD が本格的に普及しますが、CAD ベンダーの数やツールのバリエーションはむしろ、MS-DOS 全盛のこの頃の方が豊富でした。そして、私たちにとって、このような活気あふれた時期にCAD ビジネスに参入できたことは、大変幸運なことでした。

この Windiws 前夜の状況を回想録の形で以下のページにまとめてありますので興味のある方はご覧ください。

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この後ハイエンドを含め、業界全体がわき目も振らず Windows に向いました。