伝家の宝刀 – ER12S と EVM-12S

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

首尾よく手に入れたスピーカーの音が、期待外れだったという場合がよくあります。そんな場合、これに交換さえすれば好みの音に一変するるというウーファーがあります。その夢のようなウーファーは ALTEC の ER12S という名の 楽器用のスピーカーユニットで、ElectroVoice 社からも EVM-12S  SerieasⅡ(以下 SerieasⅡの表記を省略)の名で販売されていました。

写真の右側のユニットが ER12S で左が EVM-12S Power Line。
EVM-12S Power Line は組込用の為ラベルが貼られていない。
Power Line ではない EVM-12S  と ER12S は 同じものと
されていますが全く同じではなく、 ER12S には
フランジ部の裏側にもガスケットがついています。

実は当方では元々、このスピーカをピュアオーデイオ用のミッドバスとして使っていました。これを使うようになったのは、スピーカーの自作で有名な新井 悠一氏が、同シリーズの 10インチユニット(EVM-10M)を使われていたのがきっかけでした。実際に使ってみると、中高域がに張りがある上にクリー-ンで、ALTEC の大型ホーンとの繋がりも良好でした。そこでいろいろと調べてみると 1980 年代に販売されていた ALTEC や ElectroVoice 製 12インチ PA スピーカーに使われていたウーファーは、ほとんどこの ER12S/ EVM-12S  である事がわかりました。

そうにような訳で、このユニットが使われているスピーカーを入手したり、このユニットをチューニングに利用するようになりました。そしてその結果、今やこのスピーカーの音がすっかりマイスタンダードになってしまっています。

1980年代の後半、この 12インチ(30cm)ウーファーは、多くの市販スピーカーに使われていました。

ER12S は次のような ALTEC 製品に使われていました。

ALTEC 9872-8A

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:902 Type
HF Diaphragm:34647
HF Horn:MR931-12
Crossover frq.:3000
Sensitivity:99.5db
Power Handling:150W

ALTEC 937 Monitor

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:908 Type
HF Diaphragm:34726  Symbiotik
HF Horn:MR931-12
Crossover:frq. 3000
Power Handling:150W
Sensitivity:99db

また EVM-12S は次のような ElectroVoice 製品に使われていました。

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice FM1202 ER

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice SX200

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:
Crossover frq.:1.500Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

S1202 ER のクロスオーバーネットワーク

S1202 ER / FM1202 ER/ SX200 の 3機種共に、ウーファーと HF ドライバーは同じものが使われています。そして S1202 ER と FM1202 ER はキャビネットの形状以外は同じで、それぞれに ” ER “の付かない旧バージョンが存在します。またこれらの 3製品に使われているウーファー”EVM-12S Pro Line” は EVM-12S のハイパワー版です。そして SX200 には、イコライジングの為の 専用プロセッサ XP200A が用意されていました。

当方のオリジナルスピーカーにもこのウーファーを使っています。

ここまでに紹介したような既成品だけでなく、当方オリジナルのスピーカーシステムでもこのER12S/ EVM-12S  を使っています。

大きなスピーカーの上にセットされている SX200 のウーファーはもちろん EVM-12S ですが、その下の大きなフロントロードホーンとバックロードホーンのにも ALTEC 版の ER12S を使っています。

大型の金属ホーンとの音質的な繋がりを持たせる為には、ウーファーにも明るく張りのある中高音が必要です。しかし ER12S / EVM-12S 以外には、なかなかこのような音のスピーカーが見つかりません。JBL や EV のユニットを色いろ試してはみるのですがどれもしっくり来ず、結局はこのユニットに戻ってしまいます。

この他、Classic Pro CP12Ⅱのウーファーも ER12S に交換してあり、あたりはこにユニット 一色に染まっています。まさに伝家の宝刀を抜きっぱなしの状態が続いています。

CP12Ⅱの解剖とチューニング

投稿日: カテゴリー: 未分類

Classic Pro CP12Ⅱ の中古品を 3 台入手し、チューニングを試みました。その結果、ウーファーの交換と、HF の音圧 1-2db  下げただけで音質が劇的に改善され、お気に入りの逸品になりました。

チューニングに先立ち現物の音と構造を確認し、さらに製造元の web をあたって素性を調べました。音質については、sx200 同様にハイキーなバランスですが sx200 よりも 歪感が少なく、クリーンな音に聴こえます。また、製造元は Beta three ブランドのスピーカを販売している Elder Audio Manufacture.Co.,Ltd. という中国の会社であることがわかり、このメーカーのホームページに以下の情報がありました。

Beta three ES212/85 の仕様

Construction Plywood
Transducers 1 x 3” HF Compression Driver + 1 x 12” LF
Crossover 2.5kHz
Frequency Response (-3dB) 60Hz-16kHz
Rated Power 250W (RMS)
Sensitivity (1W @ 1m) 97dB
Rated Impedance
Dispersion (H x V ) 80° x 50°
Connector NL4
Dimensions (W x D x H) 397mm (15.6”) x 370mm (14.6”) x 600mm (23.6”)
Packaging Dimensions (1 pieces/pack) 505mm (19.9”) x 480mm (18.9”) x 720mm (28.4”)
Net Weight (1 pieces/pack) 25kg (55lb)
Gross Weight (1 pieces/pack) 29kg (63.8lb)

これぞまさしく Classic Pro CP12Ⅱ です。尤も Classic Pro CP12Ⅱ はサウンドハウスのプライベートブランドで販売されている製品なので、カスタマイズされている可能性もありますが・・・

この仕様書によると、クロスオーバー周波数は 2.5kHz になっています。予想よりも高めなので 取扱説明書 を見てみると、こちらでは 2.2kHz になっていました。また Rated Power は Classic Pro CP12Ⅱ  の 500W に対してこちらでは 250W (RMS) になっています。おそらくこれは瞬間最大入力と RMS の違いだと思われます。

さらに、より詳しく知るために 取扱説明書 を見てみるとHF ドライバー(ツイータ)のダイアフラムの材質がチタンであるとされています。一方でこのスピーカーに使われているドラーバーと思われる 75ED36-8N-LM の仕様書 では Al Mg Alloy (アルミとマグネシウムの合金)となっています。これについてはカスタマイズされている可能性があります。いずれにせよこの製品に使われているドライバーはハイエンド製品にしか使われていない 1.5 インチ仕様のものであり、これがこのスピーカーの最大のアドバンテージであると言えます。

また製品のスペックはさておき現物を見ると、全く手抜きせず音質を追及した製品である事が実感できます。ダイキャストフレーム・18cm 径のマグネットのウーファー、1.5 インチスロートの大きな HF ドライバー(ツイータ)、大型空芯コイルを使ったネットワークなど、ハイエンド並みに投入された物量を目の当たりにし感動すら覚えます。さらに HF ドライバーのプロテクターは PTC(ポジスタ)や電球を使ったパッシブなものでは無く、アクティブタイプのものが使われています。回路は拾っていませんが使われている部品を見た限りでは、入力信号を整流しトライアックでシャットダウンする仕組みになっているようです。これなら瞬間的な過大入力による機械的な破損も防げるはずです。

そしてこの安価なハイエンド仕様のスピーカーの音についてですが、聞きなれた CD 音源で音出しをしてみると、他の同種のスピーカーと同様にハイ上がりで中域の張りも足りません。そこでウーファーを伝家の宝刀 “ALTEC ER12S” に交換したところ中域も張り出し心地よいバランスの音に一変しました。

ウーファーを ER12S に交換

コイルを基板から外して補強桟に固定

さらにこの状態で音楽 CD を聞き込んたところ、プラスチックの小型 CD ホーン特有のチリチリした高音が気になり出した為、HF(ツイータ)のレベルを 1-2db 落しました。尤も野外ライブで使う場合には、このアッテネーションは不要かも知れません。

以上が CP12Ⅱの素性の調査とチューニングの顛末です。満足できる音に仕上がりましたが、このスピーカーには弱点もあります。その一つはネットワーク基板上のコイルの取付強度が不足しており、輸送中の振動で抜け落ちる事があるようです。今回入手したものも抜けてぶら下がっていたため、基板から取り外してキャビネットにネジ止めしました。

また、フロントグリルでいくらか音が変化します。グリルを外したものと比較するとはっきり違いが分かりますが、その差はあまり大きくないのでそのまま使っています。ちなみにこの製品の上位機種である CP15Ⅱ では、フロントグリルによる音の変化が極めて大きいため、フロントグリルを別のものに交換して使っています。

さらに、スピコンの接触不要が起こる事があります。この症状は Classic Pro の他のスピーカーで発ししますがが、 Classic Pro のスピーカケーブルを使うと良く起こります。

さらに最後にもうひとつ、気になる社会現象として。巷では「Classic Pro のロゴを取り外して使う」のが正しい使い方とされているように思えます。当方では  Classic Pro の 中古スピーカーを各種あわせて 12本入手しましたが、ロゴがついていたのはそのうちの 4本だけでした。「Classic Pro は安物」というイメージが定着してしまっており「安物を使っている事うを知られたくない」からだと思いますが、サウンドハウスのファンの私としてはイマイチ釈然としない想いが残ります。おわり

Classic Pro CSP12 と CP12Ⅱ

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

楽器や音響機材の格安通販で有名な サウンドハウス。品揃えは極めて豊富で、商品はアマゾン並みにスピーディに届きます。全てのサービスがあり得ないほど充実しており、当方でも良く利用しています。

スピーカーについても、完成品・ユニットともに多くの製品が販売されており、特にプライベートブランドである Classic pro 製品のコストパフォーマンスは驚異的に高く、人気ががあるようです。

そしてその人気を反映し、時折出向くライブイベントでも Classic pro のスピーカーをよく見かけるようになりました。中でも CSP12 というプラスチックボックスのスピーカーが多く使われており、バカ売れしているようです。おそらく ElectroVoice Sx300 の代用品をして買っている人が多いのではないかと思います。

Classic Pro CSP12 サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:50Hz-18kHz(-3dB)
40Hz-20kHz(-10dB)
■許容入力:600W
■インピーダンス:8ohms
■出力音圧レベル:97dB
■最大出力音圧レベル:112dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:1.7″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:42W×62H×38Dcm  ■重量:19.6kg

ライブ会場で聴く限りこの CSP12 の音は、当方で使っている SX200 より帯域バランスが良く滑らかです。一方、大音量では中低域が潰れたような音になり、半ば破綻気味に聞こえます。アンプのパワーに対してウーファーのリニアリティとエンクロジャーの硬性が足りないのかも知れません。どうやら大音量にはあまり向いかない上品なスピーカーのようです。

そこで Classic pro のラインナップを調べてみると、12インチ(30cm)クラスの製品として、CP12II という木製キャビネットのスピーカーがある事がわかりました。仕様書を見ると HF部(ツイータ)に 1.5 インチスロートのドライバーが使われており、2 クラスくらい上位の性能を狙った製品のように見えます。

Classic Pro CP12Ⅱ サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:60Hz-16kHz
■許容入力:500W
■インピーダンス:8Ω
■出力音圧レベル:97dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:3″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:40W×60H×37Dcm
■重量:25kg

そして、この魅力的なスピーカを見過ごす事はできず、ヤフオクで現物を入手し調べてみたところ、キャビネットやネットワークもしっかりしており、予想以上に音も良好でした。いろいろ調べてみると、基本的にはフライング仕様で設計されており、可搬性よりも音質が重視されているように見えます。

そして当方では現在、このスピーカーのウーファーを ALTEC の ER12S に交換しフロアモニターとして使っており、このスピーカーによって、 他の 12 インチモニターの出番はほとんどなくなりました。

このスピーカーは重いのであまり人気が無いようですが、品質の高さはタダモノではありません。

ElectroVoice Sx200 と Sx300

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

当方では、オーバードライブされた小型スピーカーの音に違和感を感じ、重厚長大なスピーカーを持ち歩いている訳ですが、小型スピーカーを全く使わないという訳ではありません。

いかなる現場であっても拘りを捨てるわけにはいきませんが、やはり運搬や設置に手間取る大型スピーカは現場のニーズに合わず、どうしてもプラスチックで軽量化された小型のスピーカーが必要になってきます。

そこで良く利用するのが、ElectroVoice(EV)の Sx200 です。このSx200 はすでに生産が終了しており、現在では後継機種である Sx300 に切り替わっています。この現行機種 Sx300 は Sx200 より 3kg 以上軽量化されており持ち運びは楽ですが、音質上の問題から当方では使っていません。

Sx300 – Google 画像検索より。Sx300 と Sx200 の外観に違いは無い

メインスピーカーにポールマウントし、サイドフィルにも利用

Sx300 は小規模な現場のニーズに良くマッチし、定番化しているスピーカーですが、その音はひどくドンシャリで、けたたましい音を発します。一方、旧版の Sx200 は Sx300 と同様にハイキーな音ではありすが中音域に張りがあり、帯域が狭く音数が少ない音源に対しては何とか使えなくも無さそうに思えます。

スピーカーシステムは、スピーカーユニット、クロスオーバーネットワーク、エンクロージャで音質がほぼ決まります。この 3つの要素のうち、Sx200 と Sx300 との音質差に最も大きな影響を与えてえているのは、ウーファーユニットであるといえます。この事は、Sx200 に Sx300 の ウーファーを付けてみるとすぐにわかります。

ちなみに Sx200 では ウーファー に EVM-12S、そして一方の Sx300 では DL12BFH が使われています。EVM-12S は楽器及びミッドバス用、DL12BFH はウーファーとして設計されているので、両者の音質に差が生じるのは当然です。

他の 2つの要素のうち、エンクロージャはポールマウントの受穴の径が多少異なる(SX200は少し小さくて窮屈)以外、ほとんど変わらないように見えます。またネットワークについては、両者間に違いが見られます。さらに両機種とも途中で一度設計変更がが行われ HF ドライバーの低域側のクロスオーバーポイントが上がっています。またホームオーディオ向けの製品とは異なりアッテネーターが入っていません。

以下は ElectroVoice 社の Sx200 and Sx200W Service.pdfSx300 – Service Data.pdf に載せられてている Sx200とSx300のクロスオーバーネットワークの回路です。いずれも、HF 用ハイパスフィルタのコンサンサの値がやたら小さく設定されています。これはアッテネータの代わりにコンデンサのインピーダンスを利用してアッテネーションと高域補正を行っているからです。この為、実際のクロスオーバー周波数は、スピーカーに並列に入っているコイルのインピーダンスがスピーカーのインピーダンスに近づくあたりになります。現在の PA スピーカーのはとんどがこのような設計になっています。

1998年11月以前に生産された Sx200

注:上記回路図のL3の定数は、たぶん誤りです。

1998年11月以降に生産された Sx200

注:上記回路図のC2の単位が誤っています。

1999年6月以前に生産された Sx300

1999年6月以降に生産された Sx300

という訳で、不本意ながら当方でもプラスチックで軽量化された小型スピーカーを使っています。しかし、一線を越えてはならず、その想いから敢えて旧製品である Sx200 を使っています。

びわこジャズ東近江 2017

投稿日: カテゴリー: ご案内

春がやってきました。

今月4月22日(土)と4月23日(日)に開催される、びわこジャズ東近江2017 で、近江酒造・ステージ(4月23日のみ)の音響を担当いたします。

近江酒造・ステージ(4月23日)のプログラム
• 11:30~12:10 セッケンラブ
• 12:30~13:10 onion soup
• 13:30~14:10 ビタースウィート
• 14:30~15:10 増田こまえとうさぎ組バンド
• 15:30~16:10 河野圭佑

びわこジャズ東近江のお手伝いを始めたのは 2011年(第 3回)からですので、今年でもう 7年になります。また近江酒造ステージを担当するのは今回で 5回目です。

なお今回は、ステージが設置される近江酒造の敷地内で、近江酒造株式会社創立100周年記念の「蔵まつり」が同時に開催されます。

この「蔵まつり」では、近江酒造による「蔵びらき新酒蔵出し即売会」が行われ、通常の商品の他に「BJH2017記念酒」が販売されます。さらに協賛団体によるバザーが行われるなど、たいへん盛り沢山です。

協賛バザー
・ 酒粕汁(無料)
・ 炊き込み御飯
・ ポン菓子
・ イカ焼き
・ やきそば
・ おでん
・ あかねちゃんあられetc…

木工細工の体験コーナー
・ 手造り市「十人十色」

昨年は昼食のタイミングを逃してしまいましたが、今回はしっかり腹ごしらえができそうです。

という事で、今年は例年以上に賑わいそうです。

心地良い音を街角に

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

PA ボランティアを始めてから 10年以上たちました。

この活動を始めたのは、時折出向くライブイベントでの音への疑問がきっかけでした。ライブ会場に設置されたスピーカーからは、音楽では無く悲鳴しか聞こえてきません。まさにオーディオマニアなら卒倒しかねないようなけたたましい音が鳴り響いており、これは何とかしなくてはならない!という想いに駆られました。

その昔、PA には ALTEC 社の大きなスピーカー が当たり前のように使われていました。そしてこの PA スピーカーはレコーディングスタジオや JAZZ 喫茶でも利用され、素晴らしい音を聞かせていました。さらに現在でもこれを室内で使用しているオーディオマニアが数多くいます。この事は、昔の PA スピーカーは家庭用のものよりも音が良く、ピユアオーディオ用としても十分通用する音質であった事を物語っています。

ところが最近のライブイベントでは、たいていプラスチックの小箱に入ったスピーカーが使われ、能力を超えたパワーで駆動されています。これでは良好な帯域バランスが得られないばかりか混変調が起こり、まともな音が出るはずはありません。

要するに現在では 音質よりも利便性が優先され、PA スピーカの音は悪くて当たり前になってしまっていいるようです。そしてこれは 70年代に ALTEC から JBL への移行が始まった頃からの大きな流れのように見えます。

そしてこの由々しき流れの中で、古き良き時代の定番「 ALTEC A5」スピーカーを持ち出し、本物の PA の音を知ってもらいたいと考えました。しかし本物の A5 は持ち運べそうには無いので、代用品を使う事にしました。そこで最初に用意したのは、JBL 4560 仕様の国産箱と FOSTEX の H-250 ホーンに ALTEC A5 のユニットを組み込んだシステムでした。

スピーカーはその使命も原理も扇風機と同じですので物量が物を云いいます。そしてセオリーどおりこの重厚長大なスピーカーは充分なパフォーマンスを発揮しました。しかしこのスピーカーの大きさは本物の ALTEC A5 と大差なく、運搬に大変苦労しました。

PA ボランティア 初代のメインスピーカー

そしてその後、何種類かのスピーカを用意し現場に持ち込みましたが、結局は ALTEC A5 の形状をそのまま 12インチウーファー用にスケールダウンしたものに落ち着きました。これを 2013 年のびわこジャズ フェスティバルで最初に使用し、現在でもメインスピーカーとして使い続けています。

ALTEC A5 を独自に小型化(2013年に投入)

参考資料:ALTEC社 1945年のカタログ

余談になりますが ALTEC A5 の発売は太平洋戦争が終わった 1945 年です。アメリカでは日本と戦争をしながらこんなものを作っていました。そして 70年以上経た現在でもその音への高い評価は衰えを知りません。さらに驚いた事に、発売から 70 年を経過した今もなお、このスピーカーの補修部品の供給が続けられています。ALTEC 純正の補修部品だけでなく社外品もいろいろ入手できますので、部品の交換により現場のニーズに合わせた音作りも可能です。

現場では ALTEC A5 を小型化したこのメインスピーカの他に、ステージモニター用のスピーカーを複数使用します。このモニタースピーカーについては主に既製品を利用していますが、暖色系の ALTEC トーンにチューニングしています。

ステージ(フロア)モニターも ALTEC 調のサウンドにチューニング

以下は今までにお手伝いしたイベントの一例です。

参考:

なお現在、この PA ボランティア活動の運営にご協力いただける方を募集中です。

お問い合せは yukio@jono.jp まで。

Protel DXP と Protel 2004 の記憶

投稿日: カテゴリー: CAD

大量に投入された新技術により飛躍的な進化を遂げた革新的な製品

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004  2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

Protel 99 のリリースが 1999年 3月で、Protel DXP のリリースが2002 年の年末ですので、その間は 4年近くあいています。アルティウムではその間いろいろな事がありました。

この間に起こった主な出来事として、ACCEL Technologies, Inc(P-CAD)の買収 、Metamor Inc(FPGA論理合成技術)の買収 、TASKING グループの買収(エンベッデッドソフトウェア開発環境)、プロテル(Protel International Limited)からアルティウム(Altium Limited )への社名変更 などがあげられます。

このようにこの間には、有力企業の買収がアグレッシブに行なわれています。、そしてこれらは「次世代の Protel ファミリーの開発のために行なわれた」と言えます。またこの企業買収よる最も大きな成果は、FPGA ハードウェアとソフトウェアの開発ツールの技術を手に入れたいれたことでした。

そしてProtel DXP ファミリーはこれらの企業買収で取得した技術の投入に加え、より洗練された統合環境であるDXP プラットフォームを導入することによって開発されました。その結果この新しい Protel DXP はただ単にツールの種類を増やしただけのものではなく、ツール間における相互の緊密な連携が可能な一体化された製品になりました。しかしその一方で、従来の回路図エディタや PCB エディタなどの、個別ツールの販売が取り止められました。

この流れはその後の Protel 2004 世代にも受け継がれ、アグレッシブに開発が続けられました。そして Nexer-Protel 2004 で基板設計とFPGA ハードウェア/ソフトウェアを一体化した統合開発環境が完成します。そしてさらに改良が続けられ、Altium Designer 6 へと進化していきまます。

このように、大きく進化した Protel DXP なのですが、市場への浸透は意外に緩やかなものでした。良くも悪くも根を張るほどに定着した Protel 99 SE との違いがあまりにも大きすぎたというのがその原因なのではないかと思います。これを補うためか、Protel 99 SE は Protel DXP はおろか Protel 2004 がリリースされた後もしばらく販売が継続されました。

プロテルは 1995 年のEDA/Client の導入をかわきりに統合一直線に進んできましたが、それもついにここまで来たか…というのが正直な感想です。 技術を持った企業を買収すれば機能を増やすのは簡単なことかも知れませんが、それを統合し魅力的な商品にまとめ上げる事は至難の業です。それを可能にしたのが新しく導入された DXP プラットフォームです。そしてそのコンセプトと基本技術がすでに 1995 年のEDA/Client で確立されていたという事実を思い起こし、その先見性と開発力に今まさらながら驚いています。

Protel DXP およびそれ以降の製品については今でもWEB サイトから、多くの情報が入手できますので興味のある方はご覧下さい。

プロテル進化論Protel から Altium Designer 6 へ
Protel DXP サポートドキュメントProtel 2004 サポートドキュメント

Protel 99 と Protel 99 SE の記憶

投稿日: カテゴリー: CAD

ポータビリティの良い DDB 統合データベースが導入されたロングセラー製品

販売時期  製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004  2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

1999年 4月に無印の Protel 99 がリリースされ、同年の12月に99 SEにアップデートされた後、2005年の3月末までの6年間にわたり販売が続けられました。後継の Protel DXP や Protel 2004 がリリースされた後も販売が続けられた超ロングセラーモデルです。

この製品は以前の Prtoel 98 のマイナーチェンジではなく、統合プラットフォームが大きく変更されされたほか、新たに伝送線路シミュレータが追加された全くの新製品です。

Proel 99 の統合環境は EDA/Client から Design Explorer に変更され、これに合わせて Microsoft Jet エンジン を利用した新しい統合データベースが導入されました。この新しいデザインデータベース(DDB)は全てののデザインデータを一つのデザインデータベース保存できるため、大変ポータビリティが良い反面、ファイルが壊れた場合全てのデータを失うという危険性もありました。またJet エンジンのアクセスコントロール機能を利用したプロジジェクト管理機能が備えられていました。

この新しい統合環境には短所もありました。ことに手軽に使える回路図エディタを求めている人にとって Design Explorer とDDB ファイルはいかにも大げさすぎるように思われました。

この DDB デザインデータベースについては私どもの社内でも賛否両論があり、いくどもその有効性についての議論がかわされました。しかし製品の信頼性が向上するにつれ急速にその評価は高まり、その有効性を疑問視する声はしだいに聞かれなくなりました。

Protel 99 に新たに加わった伝送線路シミュレータは旧 INCASES Engineering 社の SI Workbench を組み込んだもので、現在のAltium Designer 6 と同等のものです。また、アナログ/デジタル混在シミュレータは以前用いられていたDolphin Integration 社の SMASH から Microcode の XSpice 3f5 ベースのものに変更されました。

また回路図エディタ、PCB とも編集機能の改良は旧製品に対する上位互換が維持されており、旧製品のユーザであれば違和感無く使用できました。また部品シンボルに Unique ID 属性が追加され、デザインデータ間相互のリンクが強化されました。これにより回路図とPCBとの間のデータの受け渡しがネットリストファイルではなく、Update – PCB/Schematic のコマンド操作によって行なわれるようになりました。またこの製品から、ロングファイル名と日本語ファイル名がサポートされたことも見逃せません。

そして1999年12月の Protel 99 SE へのアップデートでは、それまで要望が強かった層数の追加が行なわれ、信号層が 16 から 32、内層プレーンが 4 から 16、メカニカル層が 4 から 16 に増やされました。この SE へのアップデートはマイナーチェンジとして扱われ、Protel 99 ユーザに無償提供されました。

また、この製品はライセンスがピア・トゥ・ピアでフローティングするように作られており、全てのユーザにフローティングライセンス仕様の製品が提供されました。また、統合版を購入しても Schematic/PCB 等の個別ツールのライセンスをバラバラに使用できましたので、設計者が作業を分担する場合には大変便利なものでした。

マーケティング面では、より明確に統合ツールへの方向性が打ち出されました。例えば回路図エディタの商品名は、従来の Advancrd Schematic 98 から Protel 99 Schematic に変更され、個別の回路図エディタ は Protel 99 統合ツールのサブセットとして位置付けがさらに明確にされました。

長期間販売されたこの Protel 99 SE には極めて多くユーザが存在しますので、Altium Designer ではProtel 99 SEのデザインデータベース(DDB)と個別ファイルとの互換性に対しては、磐石なサポートが提供されています。

なおアルティウムジャパンでは Protel 99 SE サポートを終了しましたが、サポートドキュメント の提供 は続けられています。

Protel 98 の記憶

投稿日: カテゴリー: CAD

統合化への方向性を明確にした EDA/Client の完成形

 販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004  2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

名前のとおり 1998年 2月にリリースされた、Protel V3 の改良版です。このバージョンでは、今まで独立していた Advanced Route 3 が EDA/Client のサーバとして組み込まれた事以外には目立った機能の変更は行なわれず、プログラムの32ビット化とバグの修正にに焦点が絞られました。

その結果、Protel V3 よりも安定かつ高速に動作するようになりました。表面的には極めて地味な新バージョンであるにもかかわらずその堅牢さが受け入れられ、10年たった今でもまだかなり使われています。

一方、マーケティング面においてはこのリリースを機に個別ツールから統合ツールへの転換が開始されました。商品名にもこの方針が反映され、統合版にProtel 98 という社名を冠した商品名が与えられました。そしてこれを主力商品とし、個別ツールはProtel 98 のサブセットという位置づけになりました。。

また、個別ツールから統合版 Portel 98 へのアップグレードを安価に設定することにより、統合版 Portel 98への誘導が図られました。その結果 Portel 98 へのアップグレードの注文が殺到し、リリース後2ヶ月間の Portel 98の 売上げはそれまでの半年分に相当する金額に達するほどでした。(日本国内の状況)

このように Protel 98 では、マーケティング面でも統合ツールに誘導する為の施策が施され、Protel 98 での 統合路線への転換は成功を収めました。

一方個別商品に目を向けて見ると、競合商品である OrCAD Capture の改良が進んだことで、回路図エディタの選択枝が広がってきているという状況でした。Windows版回路図エディタはプロテルしかないという時代はすでに過ぎ去っており、回路図エディタの売上げを維持するためには何らかの施策が必要な状況でした。

なお Portel 98 のファイルフォマットは Protel V3 から変更されていません。この Portel 98 で使用されているPCB 3 フォーマットは、現在のAltium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。

また Protel 98 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので興味のある方はご覧下さい。
EDA/Client Protel 98 製品仕様 Protel 98 レポートドキュメント

3代目 Windows 版プロテルの記憶

投稿日: カテゴリー: CAD

EDA/Client 統合環境を導入した第3世代の Protel for Windows

販売時期  製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004  2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

3代目 Windows 版の Advanced Schematic 3 と A dvanced PCB 3 は、従来の Ver.2 の延長線上で改良が加えられたものではなく、 EDA/Client という斬新なシステムをベースにして作り変えられた新製品です。

EDA/Client はそれまでバラバラに提供されていた複数のEDAツールを一体化するための統合環境であり、これにより異なる種類の EDA ツールを共通のユーザインタフェイスで使用することを可能にするものです。

例えば従来のプロテル製品では、回路図入力とPCBレイアウトでは、別々のプログラムを起動することが必要でしたが、この新しいシステムでは EDA/Client を起動するだけで回路図入力とPCBの両方の作業が可能になります。この事は複数の種類の仕事をする場合でもツールの使い分けが不要になることを意味します。このシステムはその後も改良が続けられツールを統合する為のプラットフォームとして今に引き継がれています。

このシステムの導入に際しては、開発初期の段階から関係者に対してコンセプトの説明やプロトタイプによるデモが行なわれました。初期の段階では EDA/OSという仮称が与えられており、まさにベンダーの垣根を越えた共通のプウラットフォームを目指していました。私どもはこのコンセプトの先見性に感銘を受け、あらためてプロテルの将来性を確信しました。そして日本のユーザに対して製品リリースの 1 年近く前から EDA/Client のコンセプトの訴求を始めました。

実際に製品がリリースされたのは、Advanced Schematic 3 が1995年 9月で、OrCAD Capture の最初のバージョンのリリースとほぼ同時期でした。 また Advanced PCB 3 は1997年 2月であり、当初の予定より 1年以上も遅れユーザの皆様には多大のご迷惑をおかけしました。

EDA/Client はツールを統合するだけでなく、カスタマイズ機能も提供しています。このカスタマイズ機能により、メニューの日本語化が可能になったほか、オルグシステムズからはマクロ言語を使ったライブラリプレーサが提供されました。

エディタの編集機能の改良については、Schematic と PCB ではアプローチが異なりました。Schematic 3では編集機能の改良を最小限にとどめ EDA/Client によって提供される機能によって新規性を創出していたのに対して、PCB 3 では編集機能そのものに大幅な改良が加えられていました。

PCB 3 はルールドリブンのシステムに変更され配線機能もインテリジェントに改良されました。しかしその反面非常に動作が遅くなりました。当時はハードウェアの進化とソフトウェアの重量化がいたちごっこをしているような状況でしたが、PCB 3 の重量化はハードウェアの進化で補うことはできませんでした。

当時のWindows プラットフォームには、このシステムは少し重すぎたように思います。このため描画レスポンスや安定性においては以前の Ver.2.x に一歩譲る面はありましたが、新しい統合環境が受け入れられユーザの数は右肩上がりに増えてゆきました。

このAdvanced Schematic 3 と A dvanced PCB 3 の投入は営業的にも満足すべきものでしたがそれ以上に、現在でも使い続けれれている先進的な統合環境と、ルールドリブンシステムの導入に成功したことの意味は大きいのではないかと思います。

なおこのPCB 3 フォーマットは、現在のAltium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。

また Protel V3 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので興味のある方はご覧下さい。
Windoes PCB-CAD 導入ガイド Protel V3 サポートドキュメント