TOA の ALTEC 互換品

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1960年代 ALTEC 製品の輸入は阪田商会(現在のサカタインクス・海外事業部は分離独立によりシークス㈱)が行っていました。そのころ輸入を担当者していた知人の話によると、当時 ALTEC スピーカーは高価なうえ輸送コストがかかるので、国内ではユニットだけを購入し、国産箱に入れて利用するというケースが多かったようです。

また輸入業者としてもユニットで輸入する方がマージンを取りやすく、その後総代理店になったエレクトリでは、国産箱を用意して輸入したユユニットを組み込んで販売していました。尤もこれは ALTEC に限らず、ジムラン(JBL)やTANNOY でも同様でした。

一方で国内のスピーカーメーカーも、この 市場に向けて商品を投入しました。多くのメーカーが ALTEC  とよく似た形の大型スピーカーを製品化しましたが、その中でも TOA の製品は際立っていました。

TOA  の製品には ALTEC製品と完全に近い互換性がありました。ユニットの取付寸法だけでなく、ウーファーに使われているコーン紙や HF ドライバーのダイアフラム(振動版)の規格もALTEC と同じです。このため、TOA のドライバーに ALTEC のホーンを取り付けたり、TOA のドライバーのダイアフラムを ALTEC 互換品として販売されているものに交換する事ができます。

という訳で、当方では ALTEC と TOA とをほとんど区別せず混在させて利用しています。そこでこの ALTEC と互換性のある TOA 製品をいくつか紹介したい思います。

ALTEC との互換性が高い TOA Gシリーズ        仕様書検索

ALTEC と良く似た外観の製品がラインナップされている。高音部にはセクトラルホーンではなく、ラジアルホーンが使われえいる。GS-1 と GS-2 は 3 ウェイ。GS-3 は ALTEC には無いサイズの 30cm のウーファーを使った製品。当方では GS-3 のキャビネットである LSC-711 を利用している。GS-10 は G シリーズの大型スピーカーのユニットを、小さな箱に詰め替えたような製品。


* 上図は TOA 株式会社の仕様書から転載

HLS-3806
GS-1/GS-2 の38cm ウーファー

ALTEC 515 シリーズを想わせる外観。ALTEC の 16インチフレームと同じマウントサイズ。見比べるとコーン紙の形状は ALTEC 515B と同じで、515 用のリコーンキットが使えそうに見える。音質バランスは 515 よりも低音寄りの印象。

HFD-651 と HRH-851
GS-1/GS-2 の 高音ユニット

貴重な 1.4 インチスロートのラジアルホーン。メトリックのネジが使われているが取付ピッチは同じであり、ホーン・ドライバーともに ALTEC との互換性がある。ダイアフラムは ALTEC のラージフォーマット用のもの が使える。

GS-10 と 30-SD

GS-10 は G シリーズ唯一のステージモニター。ウーファーは 30cm の HLS-3006 で高音ホーンは HRH-311低音部・高音部ともにユニットのクオリティは高く、たいへん高音質。30-SD は別シリーズだが、同じ HF ドライバーとホーンが使われておりこれも音が良い。30-SD のウーファーにはプレスフレームの、コストダウンされたものが使われている。

GS-10 に使われている HRH-311 と HLS-3006

GS-10 に使われているユニット。高音ドライバーの品名は不明だが、ホーンはスロート径 22mm の HRH-311 で ドライバーの取付ピッチは ALTEC のスモールフォーマット( 1 インチスロート)と同じ。ダイアフラムは ALTEC と互換性がある。ウーファーの HLS-3006 は ALTEC 414 と同じマウントサイズに見える。

このように TOA 製品には ALTEC 製品との互換性があるものが多く、たいへん重宝しています。これらを入手して試してみるとどれも音が良く、これこそが「正しく進化した ALTEC の姿」なのではないか?と思ってみたりしています。

小型化された ALTEC A5の音

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試行錯誤を繰り返した結果、ALTEC A5  の外観を保ちつつ何とか一人で持ち運べる大きさまで小型化され、音質的にも納得できるものができました。しかし ALTEC A5 の音が再現できたわけでは無く、まったく別物と言えるくらい違ったものになってしまいました。

音が似ているかどうかを数値で表すと、おそらく 10% くらいかも知れません。ALTEC A5  の音は ALTEC の頂点に立つ製品として、際立った個性を持った部品を使って練り上げられたものです。この為どこを変えても音は大きく変わってしまい、特に今回のように小型化された互換部品の寄せ集めでは、同じ音を望む術もありません。

しかしそれは A5 とは音の傾向が異なるという事であり、絶対的な音の評価ではありません。また A5 ではなくALTEC 製品の平均的な音の傾向に対しては、50% くらいの ALTEC 度を達成できているのではないかと勝手に考えているところです。

とはいうものの A5 の音への未練が無い訳ではありません。特に アコースティクな音源に対する A5 の音の生々しさは垂涎ものです。このため最近は HF(高音部)に日本で販売されていた ALTEC A5 の構成に近い、311-60 ホーンと288 用純正のアルミダイアフラムを使う場合が増えきています。A5 の代用品を目指すからには、本物の利用は極力避けたいところですが、これにより ALTEC  度は大きくアップします。

本物の ALTEC ホーンを使う

ALTEC 純正の 311-60 ホーンを使う事も多い。国内向け A5 に使われていた  311-90 の水平指向性を 60度に制限したもので、311-90 より一回り小さい。仕様上は 300Hz から使える。イズ的にもウーファーキャビネッツと良くマッチする。

288 純正ダイアフラム

この 288用の 純正ダイアフラム 23763 を使うとALTEC A5 の音に近づく。ALTEC 創業後、この 23763 は早い時期に登場し、長期に渡って使われた。音は明るく乾いており、Hi-Fi 調でヌケが良い。まさに A5 の音造りのエッセンスでありA5 サウンドの源泉。一度聴くとこれしか無い!と思ってしまうほど魅力的な音がする。ただし許容入力(連続ピンクノイズ)は 299用 25884 の 50W に対してこちらは 15Wと極めて小さい。この為、大音量が要求される現場では使えない。尚このダイアフラムは現在でも新品が入手できる。

ダイアフラムの選択肢

上-左:純正 299用 8Ω – 25884
上-中:純正 288用 8Ω – 23763
上-右:純正 291用 16Ω – 21531
下-左:互換品 アルミ製 8Ω
下-中:互換品 アルミ製 8Ω
下-右:互換品 チタン製 8Ω
互換品を含めて多くの種類のダイアフラムがあり、今でも新品で中手できるものもある。常用しているのはこの写真の右下に映っているチタン製のもの。A5 サウンドに拘らなければ PA 用にはこのチタン製のものが最適。写真に写っているものは 21531 を除いて新品が入手できる。

クロスオーバー周波数

大型の 2 ウェイスピーカーの場合、どうしても楽器の基音や低次の倍音付近ででクロスさせることになりますので、クロスオーバー周波数の選び方によって大きく音が変化します。

500Hz、800Hz、1200Hzあたりが良く使われますが ALTEC A5 は 500Hzでクロスさせており、A5 のクリアな中音はこの低いポイントでのクロスによよって実現されています。尤も実際にクロスポイントを変えてみると、ALTEC系のシステムではあまり大きくは変わらないという印象を受けます。しかし良く聴くと周波数が上がるほど中音の明瞭度が失われ、平面的な音に変化していくのがわかります。

ALTEC A7 にはクロスポイントが 500Hzのものと、800Hz のものがありますが、ある映画館で 500Hz のものから 800Hzのものに交換したところ、任侠映画に主演する高倉健さんの声が耳元に迫って来ない、というクレームが出たそうです。このような違いが有るのであれば、マフィアのボスの声も 800Hz ではダメかも知れません。またジャズを聴いても同じような違いが出るかもしれません。しかし一方、これとりも高い 1200Hz あたりまで上げると Pops などでは引き締まった迫力のある音に聴こえます。

半世紀ほど前にこんな逸話を耳にした事があます。ALTEC は 100m 先で「音楽」が聞こえた。ジムラン(JBL)は 100m 先で「音」が聞こえた。TANNOY は100m 先で「音」が聞こえなかった。というものです。三者の違いをうまく言い当てていると思います。この頃 ALTEC のクロスポイントは 500Hz で JBL と TANNOY は 1200Hz 付近でした。スピーカーユニットの能力もさることながらクロスオーバーポイントの設定が音の到達力に大きく影響しているように思います。

というわけで 500Hz でのクロスは、小型化した代用品であっても譲る事はできません。いずれにせよ HF(高音)部については幾つかのものを用意し、ステージの内容に合わせて使い分けています。

ALTEC A5 を小型化する

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ALTEC A5 を持ち運べるサイズに小型化する

太平洋戦争終結の年に発売された ALTEC A5 スピーカー。その音の良さは今も色あせる事なく、心地良い音を街角に 届けるのには最高の PA スピーカーです。しかし気軽に持ち出せる大きさではなく、この大きさを何とかしないと使いものにはなりません。そこで代用できる部品を探し、それを使って小型化する事にしました。

そしてはじめに取組んだのは、巨大なALTEC の HF(高音)ホーンの代用品を探す事でした。

HF ホーンを試す

まず、日本向け ALTEC A5 の標準ホーンとして使われていた 311-90 の代わりに使えそうなものをいろいろ試してみました。最初に試したのは Fostex H251 で、これは何度も現場で使用しました。
その他に YAMAHA の FRP 製 CD ホーン、TOA の HRH-851 ラジアルホーン、ALTEC  MRⅡ 594 564 Mantaray ホーンなどを試しました。しかしこれらはいずれもサイズ、または音質的に満足できるものではありませんでした。

ALTEC 811 似の 1.4 インチホーン

そして、 そうこうしているうちに、オーディオショップで ALTEC 811 のスロート径を 1.4 インチに変更したような形状の、無名のセクトラルホーンを見付けました。すぐにこれを入手して試してみたところ、音が良いうえ手頃な大きですので、これをメインに使う事にしました。

Fostex H251 + ALTEC 299

2 インチのスロート径を 1.4 インチに変換。カットオフ 250Hz 。力がありよく通る音。JBL 4560 互換ウーファーボックスと組合わせで使用。大きさは ALTEC 311-90 と大差なく小型化が不充分。

ALTEC CD ホーン & TOA ホーン

TOA の HRH-851 ラジアルホーンについては、音は良いが横幅が広すぎて小型のウーファーボックスに乗せるとはみ出してしまう。ALTEC の CD ホーンはプラスチック臭い音に違和感が残る。

YAMAHA CD ホーン + JAY-2299

YAMAHA のスピーカーシステムに使われていた FRP 製 CD ホーン。ドライバー JAY-2200 はA LTEC 299 の OEM 製品。高域はダラ下がりで、音のヌケは良いが金属ホーンのような明るさはは無い。

ALTEC 311-90と811 似の小型ホーン

ALTEC 311-90 と、1.4インチスロートの 811 風セクトラルホーン。粒立ちがよく明るい音。311-90 よりかなり小さいが 800Hz 以上でしか使えない。ルックス的にも ALTEC 度は高い。

ウーファーと組合せる

HF ホーンについては他にもいろいろ試ましたが、ALTEC 311-90 の代用品としては、その音も形も 811 似の小型ホーンがいちばんしっくりきます。そこで、まずはこれを常用する事に決め、組み合わせるウーファーを用意しました。できればウーファーボックスにもホーン型を使いたいところですが、どうしても大きくなってしまいますので、とりあえずバスレフ型のものを使う事にしました。
また、手間のかかる自作は避けできるだけ既製品を入手し、低音部だけ使うようにしました。しかしユニットを ALTEC 515-8GHP に交換しますので、TOA 製品以外には使えるものがほとんどありません。

ALTEC 811 風の小型代用ホーン + バスレフ型ウーファー
15インチ(38cm)用ボックスについては、TOA 380-SE を入手し、ウーファー515-8GHP に交換しウーファーだけを使用。そして片側 2台を縦や横に設置して使用。この頃のTOA の製品には ALTEC製品との互換性があるものが多い。 12インチ(30cm)用ボックスは自作し ALTEC ER12S を組込んた。 サブウーファーは EV Eliminator のキャビネットに JBL E140 を組込んで使用した。

ホーン型ウーファーと組合せて使う

その後オークションサイトで、12インチサイズのフロントロードボックスとバックロードボックスを見付けて入手しました。どちらも 15inchサイズの本物を比例縮小したような形状になっており、見た目のバランスも良好です。サイズに合わせて音もだいぶ縮んでしまっていますがなんとか使えるレベルに納まっています 。
という事で、すぐにこのフロントロードホーンのウーファーを常用するようになりました。
なお、このスピーカーボックスは TOA の既製品ですが、バスレフ開口部にダクトと追加し共振点を 48Hz にチューニングして使っています。

ホーン型ウーファーボックスとの組合せ

フロントロードホーンのキャビネットは TOA GS-3 に使われていた LSC-711

マルチセルラー型ホーン

ALTEC A5  の日本向け以外の製品には、セクトラルホーンではなくマルチセルラーホーンが使われていたそうです。セクトラルホーンの代用品についてはここまでに紹介したとおりですが、マルチセルラーホーンについてもいくつか試しました。 マルチセルラー型は高音が出ませんので、常用には向きませんが、男性ボーカルには良く合います。
なおこの、これぞ ALTEC という風貌のマルチセルラーホーンは、もちろん本物ではなく、日本の Pioneer 製 です。

マルチセルラーホーン 他

* この写真に写っているものは一部を除いて ALTEC 以外のメーカーによる 模造品です。

巨大な ALTEC がこんなに小さくなりました

ALTEC VOT の画像は、サウンド与太噺 より引用
ALTEC社 1945年のカタログ を併せてご覧ください。

ALTEC A5 と同じオールホーンの構成のまま縮小する事により、ビジュアル的にも 完成度が高まりました。この試みに於いては見た目が古くなることも進化の一つであり、ALTEC のレトロ感が再現できたことにより一区切りつける事ができました。このスピーカーをびわこジャズフェスティバル 2013 で投入し、その後のライブイベントではだいたいこれを使っています。

伝家の宝刀 – ER12S と EVM-12S

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首尾よく手に入れたスピーカーの音が、期待通りで無い場合が良くあります。中音が痩せている事が多く、そのような場合にはウーファーを交換します。この対策に使うウーファーは ALTEC の ER12S という名の 楽器用のユニットで、ElectroVoice 社からも EVM-12S  SerieasⅡ(以下 SerieasⅡの表記を省略)の名で販売されていました。ほとんどの場合、これに交換するだけで使える音に一変します。

写真の右側のユニットが ER12S で左が EVM-12S Power Line。
EVM-12S Power Line は組込用の為ラベルが貼られていない。
Power Line ではない EVM-12S  と ER12S は 同じものと
されていますが全く同じではなく、 ER12S には
フランジ部の裏側にもガスケットがついています。

実は当方では元々、このスピーカをピュアオーデイオ用のミッドバスとして使っていました。これを使うようになったのは、スピーカーの自作で有名な新井 悠一氏が、同シリーズの 10インチユニット(EVM-10M)を使われていたのがきっかけでした。実際に使ってみると、中高域がに張りがある上にクリー-ンで、ALTEC の大型ホーンとの繋がりも良好でした。そこでいろいろと調べてみると 1980 年代に販売されていた ALTEC や ElectroVoice 製 12インチ PA スピーカーに使われていたウーファーは、ほとんどこの ER12S/ EVM-12S  である事がわかりました。

そうにような訳で、このユニットが使われているスピーカーを入手したり、このユニットをチューニングに利用するようになりました。そしてその結果、今やこのスピーカーの音がすっかりマイスタンダードになってしまっています。

1980年代の後半、この 12インチ(30cm)ウーファーは、多くの市販スピーカーに使われていました。

ER12S は次のような ALTEC 製品に使われていました。

ALTEC 9872-8A

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:902 Type
HF Diaphragm:34647
HF Horn:MR931-12
Crossover frq.:3000
Sensitivity:99.5db
Power Handling:150W

ALTEC 937 Monitor

Spec.
Woofer:ER12S
HF Driver:908 Type
HF Diaphragm:34726  Symbiotik
HF Horn:MR931-12
Crossover:frq. 3000
Power Handling:150W
Sensitivity:99db

また EVM-12S は次のような ElectroVoice 製品に使われていました。

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice FM1202 ER

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:HT94
Crossover frq.:1.600Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

ElectroVoice SX200

Spec.
Woofer:EVM-12S pro Line
HF Driver:DH3/DH2010A
HF Horn:
Crossover frq.:1.500Hz
Sensitivity:101.5db
Power Handling:300W

S1202 ER のクロスオーバーネットワーク

S1202 ER / FM1202 ER/ SX200 の 3機種共に、ウーファーと HF ドライバーは同じものが使われています。そして S1202 ER と FM1202 ER はキャビネットの形状以外は同じで、それぞれに ” ER “の付かない旧バージョンが存在します。またこれらの 3製品に使われているウーファー”EVM-12S Pro Line” は EVM-12S のハイパワー版です。そして SX200 には、イコライジングの為の 専用プロセッサ XP200A が用意されていました。

当方のオリジナルシステムにもこのウーファーを使っています。

ここまでに紹介したような既成品だけでなく、当方オリジナルのスピーカーシステムでもこのER12S/ EVM-12S  を使っています。

大きなスピーカーの上にセットされている SX200 のウーファーはもちろん EVM-12S ですが、その下の大きなフロントロードホーンとバックロードホーンのにも ALTEC 版の ER12S を使っています。

大型の金属ホーンとの音質的な繋がりを持たせる為には、ウーファーにも明るく張りのある中高音が必要です。しかし ER12S / EVM-12S 以外には、なかなかこのような音のスピーカーが見つかりません。JBL や EV のユニットを色いろ試してはみるのですがどれもしっくり来ず、結局はこのユニットに戻ってしまいます。

この他、Classic Pro CP12Ⅱのウーファーも ER12S に交換してあり、あたりはこにユニット 一色に染まっています。まさに伝家の宝刀を抜きっぱなしの状態が続いています。

CP12Ⅱの解剖とチューニング

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Classic Pro CP12Ⅱ の中古品を 3 台入手し、チューニングを試みました。その結果、ウーファーの交換と、HF の音圧 1-2db  下げただけで音質が劇的に改善され、お気に入りの逸品になりました。

チューニングに先立ち現物の音と構造を確認し、さらに製造元の web をあたって素性を調べました。音質については、sx200 同様にハイキーなバランスですが sx200 よりも 歪感が少なく、クリーンな音に聴こえます。また、製造元は Beta three ブランドのスピーカを販売している Elder Audio Manufacture.Co.,Ltd. という中国の会社であることがわかり、このメーカーのホームページに以下の情報がありました。

Beta three ES212/85 の仕様

Construction Plywood
Transducers 1 x 3” HF Compression Driver + 1 x 12” LF
Crossover 2.5kHz
Frequency Response (-3dB) 60Hz-16kHz
Rated Power 250W (RMS)
Sensitivity (1W @ 1m) 97dB
Rated Impedance
Dispersion (H x V ) 80° x 50°
Connector NL4
Dimensions (W x D x H) 397mm (15.6”) x 370mm (14.6”) x 600mm (23.6”)
Packaging Dimensions (1 pieces/pack) 505mm (19.9”) x 480mm (18.9”) x 720mm (28.4”)
Net Weight (1 pieces/pack) 25kg (55lb)
Gross Weight (1 pieces/pack) 29kg (63.8lb)

これぞまさしく Classic Pro CP12Ⅱ です。尤も Classic Pro CP12Ⅱ はサウンドハウスのプライベートブランドで販売されている製品なので、カスタマイズされている可能性もありますが・・・

この仕様書によると、クロスオーバー周波数は 2.5kHz になっています。予想よりも高めなので 取扱説明書 を見てみると、こちらでは 2.2kHz になっていました。また Rated Power は Classic Pro CP12Ⅱ  の 500W に対してこちらでは 250W (RMS) になっています。おそらくこれは瞬間最大入力と RMS の違いだと思われます。

さらに、より詳しく知るために 取扱説明書 を見てみるとHF ドライバー(ツイータ)のダイアフラムの材質がチタンであるとされています。一方でこのスピーカーに使われているドラーバーと思われる 75ED36-8N-LM の仕様書 では Al Mg Alloy (アルミとマグネシウムの合金)となっています。これについてはカスタマイズされている可能性があります。いずれにせよこの製品に使われているドライバーはハイエンド製品にしか使われていない 1.5 インチ仕様のものであり、これがこのスピーカーの最大のアドバンテージであると言えます。

また製品のスペックはさておき現物を見ると、全く手抜きせず音質を追及した製品である事が実感できます。ダイキャストフレーム・18cm 径のマグネットのウーファー、1.5 インチスロートの大きな HF ドライバー(ツイータ)、大型空芯コイルを使ったネットワークなど、ハイエンド並みに投入された物量を目の当たりにし感動すら覚えます。さらに HF ドライバーのプロテクターは PTC(ポジスタ)や電球を使ったパッシブなものでは無く、アクティブタイプのものが使われています。回路は拾っていませんが使われている部品を見た限りでは、入力信号を整流しトライアックでシャットダウンする仕組みになっているようです。これなら瞬間的な過大入力による機械的な破損も防げるはずです。

そしてこの安価なハイエンド仕様のスピーカーの音についてですが、聞きなれた CD 音源で音出しをしてみると、他の同種のスピーカーと同様にハイ上がりで中域の張りも足りません。そこでウーファーを伝家の宝刀 “ALTEC ER12S” に交換したところ中域も張り出し心地よいバランスの音に一変しました。

ウーファーを ER12S に交換

コイルを基板から外して補強桟に固定

さらにこの状態で音楽 CD を聞き込んたところ、プラスチックの小型 CD ホーン特有のチリチリした高音が気になり出した為、HF(ツイータ)のレベルを 1-2db 落しました。尤も野外ライブで使う場合には、このアッテネーションは不要かも知れません。

以上が CP12Ⅱの素性の調査とチューニングの顛末です。満足できる音に仕上がりましたが、このスピーカーには弱点もあります。その一つはネットワーク基板上のコイルの取付強度が不足しており、輸送中の振動で抜け落ちる事があるようです。今回入手したものも抜けてぶら下がっていたため、基板から取り外してキャビネットにネジ止めしました。

また、フロントグリルでいくらか音が変化します。グリルを外したものと比較するとはっきり違いが分かりますが、その差はあまり大きくないのでそのまま使っています。ちなみにこの製品の上位機種である CP15Ⅱ では、フロントグリルによる音の変化が極めて大きいため、フロントグリルを別のものに交換して使っています。

さらに、スピコンの接触不要が起こる事があります。この症状は Classic Pro の他のスピーカーで発ししますがが、 Classic Pro のスピーカケーブルを使うと良く起こります。

さらに最後にもうひとつ、気になる社会現象として。巷では「Classic Pro のロゴを取り外して使う」のが正しい使い方とされているように思えます。当方では  Classic Pro の 中古スピーカーを各種あわせて 12本入手しましたが、ロゴがついていたのはそのうちの 4本だけでした。「Classic Pro は安物」というイメージが定着してしまっており「安物を使っている事うを知られたくない」からだと思いますが、サウンドハウスのファンの私としてはイマイチ釈然としない想いが残ります。おわり

Classic Pro CSP12 と CP12Ⅱ

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楽器や音響機材の格安通販で有名な サウンドハウス。品揃えは極めて豊富で、商品はアマゾン並みにスピーディに届きます。全てのサービスがあり得ないほど充実しており、当方でも良く利用しています。

スピーカーについても、完成品・ユニットともに多くの製品が販売されており、特にプライベートブランドである Classic pro 製品のコストパフォーマンスは驚異的に高く、人気ががあるようです。

そしてその人気を反映し、時折出向くライブイベントでも Classic pro のスピーカーをよく見かけるようになりました。中でも CSP12 というプラスチックボックスのスピーカーが多く使われており、バカ売れしているようです。おそらく ElectroVoice Sx300 の代用品をして買っている人が多いのではないかと思います。

Classic Pro CSP12 サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:50Hz-18kHz(-3dB)
40Hz-20kHz(-10dB)
■許容入力:600W
■インピーダンス:8ohms
■出力音圧レベル:97dB
■最大出力音圧レベル:112dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:1.7″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:42W×62H×38Dcm  ■重量:19.6kg

ライブ会場で聴く限りこの CSP12 の音は、当方で使っている SX200 より帯域バランスが良く滑らかです。一方、大音量では中低域が潰れたような音になり、半ば破綻気味に聞こえます。アンプのパワーに対してウーファーのリニアリティとエンクロジャーの硬性が足りないのかも知れません。どうやら大音量にはあまり向いかない上品なスピーカーのようです。

そこで Classic pro のラインナップを調べてみると、12インチ(30cm)クラスの製品として、CP12II という木製キャビネットのスピーカーがある事がわかりました。仕様書を見ると HF部(ツイータ)に 1.5 インチスロートのドライバーが使われており、2 クラスくらい上位の性能を狙った製品のように見えます。

Classic Pro CP12Ⅱ サウンドハウス社 HP より

仕様

■タイプ:2WAYフルレンジ
■周波数特性:60Hz-16kHz
■許容入力:500W
■インピーダンス:8Ω
■出力音圧レベル:97dB
■ウーハーユニット:12″
■ドライバー:3″
■コネクター:スピコンx2
■スタンドマウント:○
■サイズ:40W×60H×37Dcm
■重量:25kg

そして、この魅力的なスピーカを見過ごす事はできず、ヤフオクで現物を入手し調べてみたところ、キャビネットやネットワークもしっかりしており、予想以上に音も良好でした。いろいろ調べてみると、基本的にはフライング仕様で設計されており、可搬性よりも音質が重視されているように見えます。

そして当方では現在、このスピーカーのウーファーを ALTEC の ER12S に交換しフロアモニターとして使っており、このスピーカーによって、 他の 12 インチモニターの出番はほとんどなくなりました。

このスピーカーは重いのであまり人気が無いようですが、品質の高さはタダモノではありません。

ElectroVoice Sx200 と Sx300

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

当方では、オーバードライブされた小型スピーカーの音に違和感を感じ、重厚長大なスピーカーを持ち歩いている訳ですが、小型スピーカーを全く使わないという訳ではありません。

いかなる現場であっても拘りを捨てるわけにはいきませんが、やはり運搬や設置に手間取る大型スピーカは現場のニーズに合わず、どうしてもプラスチックで軽量化された小型のスピーカーが必要になってきます。

そこで良く利用するのが、ElectroVoice(EV)の Sx200 です。このSx200 はすでに生産が終了しており、現在では後継機種である Sx300 に切り替わっています。この現行機種 Sx300 は Sx200 より 3kg 以上軽量化されており持ち運びは楽ですが、音質上の問題から当方では使っていません。

Sx300 – Google 画像検索より。Sx300 と Sx200 の外観に違いは無い

メインスピーカーにポールマウントし、サイドフィルとして使用

Sx300 は小規模な現場のニーズに良くマッチし、定番化しているスピーカーですが、その音はひどくシャリシャリしており、けたたましささえ感じます。一方、旧版の Sx200 は Sx300 と同様にハイキーな音ではありすが中音域に張りがあり、帯域が狭く音数が少ない音源に対しては何とか使えなくも無さそうに思えます。ただしこれは、サブウーファーやイコライジング無しに使った場合の印象です。

スピーカーシステムは、スピーカーユニット、クロスオーバーネットワーク、エンクロージャで音質がほぼ決まります。この 3つの要素のうち、Sx200 と Sx300 との音質差に最も大きな影響を与えてえているのは、ウーファーユニットであるといえます。この事は、Sx200 に Sx300 の ウーファーを付けてみるとすぐにわかります。

ちなみに Sx200 では ウーファー に EVM-12S、そして一方の Sx300 では DL12BFH が使われています。EVM-12S は楽器及びミッドバス用、DL12BFH はウーファーとして設計されているので、両者の音質に差が生じるのは当然です。

他の 2つの要素のうち、エンクロージャはポールマウントの受穴の径が多少異なる(SX200は少し小さくて窮屈)以外、ほとんど変わらないように見えます。またネットワークについては、両者間に違いが見られます。さらに両機種とも途中で一度設計変更がが行われ HF ドライバーの低域側のクロスオーバーポイントが上がっています。またホームオーディオ向けの製品とは異なりアッテネーターが入っていません。

以下は ElectroVoice 社の Sx200 and Sx200W Service.pdfSx300 – Service Data.pdf に載せられてている Sx200とSx300のクロスオーバーネットワークの回路です。いずれも、HF 用ハイパスフィルタのコンサンサの値がやたら小さく設定されています。これはアッテネータの代わりにコンデンサのインピーダンスを利用してアッテネーションと高域補正を行っているからです。この為、実際のクロスオーバー周波数は、スピーカーに並列に入っているコイルのインピーダンスがスピーカーのインピーダンスに近づくあたりになります。現在の PA スピーカーのはとんどがこのような設計になっています。

1998年11月以前に生産された Sx200

注:上記回路図のL3の定数は、たぶん誤りです。

1998年11月以降に生産された Sx200

注:上記回路図のC2の単位が誤っています。

1999年6月以前に生産された Sx300

1999年6月以降に生産された Sx300

という訳で、不本意ながら当方でもプラスチックで軽量化された小型スピーカーを使っています。しかし、一線を越えてはならず、その想いから敢えて旧製品である Sx200 を使っています。

注:このサイズのスピーカーは単独で良好な帯域バランスを得る事は困難ですので、イコライジングやサブウーファーの併用を選定に設計されています。よって音質の正しい評価にはこれらによる調整が必要です。ここでの音の評価は不完全なコンデシヨンによるものであり精密なものではありません。ちなみに SX200 では XP200という専用イコライザーが用意されていました。

びわこジャズ東近江 2017

投稿日: カテゴリー: ご案内

春がやってきました。

今月4月22日(土)と4月23日(日)に開催される、びわこジャズ東近江2017 で、近江酒造・ステージ(4月23日のみ)の音響を担当いたします。

近江酒造・ステージ(4月23日)のプログラム
• 11:30~12:10 セッケンラブ
• 12:30~13:10 onion soup
• 13:30~14:10 ビタースウィート
• 14:30~15:10 増田こまえとうさぎ組バンド
• 15:30~16:10 河野圭佑

びわこジャズ東近江のお手伝いを始めたのは 2011年(第 3回)からですので、今年でもう 7年になります。また近江酒造ステージを担当するのは今回で 5回目です。

なお今回は、ステージが設置される近江酒造の敷地内で、近江酒造株式会社創立100周年記念の「蔵まつり」が同時に開催されます。

この「蔵まつり」では、近江酒造による「蔵びらき新酒蔵出し即売会」が行われ、通常の商品の他に「BJH2017記念酒」が販売されます。さらに協賛団体によるバザーが行われるなど、たいへん盛り沢山です。

協賛バザー
・ 酒粕汁(無料)
・ 炊き込み御飯
・ ポン菓子
・ イカ焼き
・ やきそば
・ おでん
・ あかねちゃんあられetc…

木工細工の体験コーナー
・ 手造り市「十人十色」

昨年は昼食のタイミングを逃してしまいましたが、今回はしっかり腹ごしらえができそうです。

という事で、今年は例年以上に賑わいそうです。

心地良い音を街角に

投稿日: カテゴリー: Live AUDIO

PA ボランティアを始めてから 10年以上たちました。

この活動を始めたのは、時折出向くライブイベントでの音への疑問がきっかけでした。ライブ会場に設置されたスピーカーからは、音楽では無く悲鳴しか聞こえてきません。まさにオーディオマニアなら卒倒しかねないようなけたたましい音が鳴り響いており、これは何とかしなくてはならない!という想いに駆られました。

その昔、PA には ALTEC 社の大きなスピーカー が当たり前のように使われていました。そしてこの PA スピーカーはレコーディングスタジオや JAZZ 喫茶でも利用され、素晴らしい音を聞かせていました。さらに現在でもこれを室内で使用しているオーディオマニアが数多くいます。この事は、昔の PA スピーカーは家庭用のものよりも音が良く、ピユアオーディオ用としても十分通用する音質であった事を物語っています。

ところが最近のライブイベントでは、たいていプラスチックの小箱に入ったスピーカーが使われ、能力を超えたパワーで駆動されています。これでは良好な帯域バランスが得られないばかりか混変調が起こり、まともな音が出るはずはありません。

要するに現在では 音質よりも利便性が優先され、PA スピーカの音は悪くて当たり前になってしまっていいるようです。そしてこれは 70年代に ALTEC から JBL への移行が始まった頃からの大きな流れのように見えます。

そしてこの由々しき流れの中で、古き良き時代の定番「 ALTEC A5」スピーカーを持ち出し、本物の PA の音を知ってもらいたいと考えました。しかし本物の A5 は持ち運べそうには無いので、代用品を使う事にしました。そこで最初に用意したのは、JBL 4560 仕様の国産箱と FOSTEX の H-251 ホーンに ALTEC A5 のユニットを組み込んだシステムでした。

スピーカーはその使命も原理も扇風機と同じですので物量が物を云いいます。そしてセオリーどおりこの重厚長大なスピーカーは充分なパフォーマンスを発揮しました。しかしこのスピーカーの大きさは本物の ALTEC A5 と大差なく、運搬に大変苦労しました。

PA ボランティア 初代のメインスピーカー

そしてその後、何種類かのスピーカを用意し現場に持ち込みましたが、結局は ALTEC A5 の形状をそのまま 12インチウーファー用にスケールダウンしたものに落ち着きました。これを 2013 年のびわこジャズ フェスティバルで最初に使用し、現在でもメインスピーカーとして使い続けています。

ALTEC A5 を独自に小型化(2013年に投入)

ALTEC VOT の画像は、サウンド与太噺 より引用

ALTEC社 1945年のカタログ を併せてご覧ください。

余談になりますが ALTEC A5 の発売は太平洋戦争が終わった 1945 年です。アメリカでは日本と戦争をしながらこんなものを作っていました。そして 70年以上経た現在でもその音への高い評価は衰えを知りません。さらに驚いた事に、発売から 70 年を経過した今もなお、このスピーカーの補修部品の供給が続けられています。ALTEC 純正の補修部品だけでなく社外品もいろいろ入手できますので、部品の交換により現場のニーズに合わせた音作りも可能です。

現場では ALTEC A5 を小型化したこのメインスピーカの他に、ステージモニター用のスピーカーを複数使用します。このモニタースピーカーについては主に既製品を利用していますが、暖色系の ALTEC トーンにチューニングしています。

ステージ(フロア)モニターも ALTEC 調のサウンドにチューニング

以下は今までにお手伝いしたイベントの一例です。

参考:

なお現在、この PA ボランティア活動の運営にご協力いただける方を募集中です。

お問い合せは yukio@jono.jp まで。

Protel DXP と Protel 2004 の記憶

投稿日: カテゴリー: CAD

大量に投入された新技術により飛躍的な進化を遂げた革新的な製品

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004  2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

Protel 99 のリリースが 1999年 3月で、Protel DXP のリリースが2002 年の年末ですので、その間は 4年近くあいています。アルティウムではその間いろいろな事がありました。

この間に起こった主な出来事として、ACCEL Technologies, Inc(P-CAD)の買収 、Metamor Inc(FPGA論理合成技術)の買収 、TASKING グループの買収(エンベッデッドソフトウェア開発環境)、プロテル(Protel International Limited)からアルティウム(Altium Limited )への社名変更 などがあげられます。

このようにこの間には、有力企業の買収がアグレッシブに行なわれています。、そしてこれらは「次世代の Protel ファミリーの開発のために行なわれた」と言えます。またこの企業買収よる最も大きな成果は、FPGA ハードウェアとソフトウェアの開発ツールの技術を手に入れたいれたことでした。

そしてProtel DXP ファミリーはこれらの企業買収で取得した技術の投入に加え、より洗練された統合環境であるDXP プラットフォームを導入することによって開発されました。その結果この新しい Protel DXP はただ単にツールの種類を増やしただけのものではなく、ツール間における相互の緊密な連携が可能な一体化された製品になりました。しかしその一方で、従来の回路図エディタや PCB エディタなどの、個別ツールの販売が取り止められました。

この流れはその後の Protel 2004 世代にも受け継がれ、アグレッシブに開発が続けられました。そして Nexer-Protel 2004 で基板設計とFPGA ハードウェア/ソフトウェアを一体化した統合開発環境が完成します。そしてさらに改良が続けられ、Altium Designer 6 へと進化していきまます。

このように、大きく進化した Protel DXP なのですが、市場への浸透は意外に緩やかなものでした。良くも悪くも根を張るほどに定着した Protel 99 SE との違いがあまりにも大きすぎたというのがその原因なのではないかと思います。これを補うためか、Protel 99 SE は Protel DXP はおろか Protel 2004 がリリースされた後もしばらく販売が継続されました。

プロテルは 1995 年のEDA/Client の導入をかわきりに統合一直線に進んできましたが、それもついにここまで来たか…というのが正直な感想です。 技術を持った企業を買収すれば機能を増やすのは簡単なことかも知れませんが、それを統合し魅力的な商品にまとめ上げる事は至難の業です。それを可能にしたのが新しく導入された DXP プラットフォームです。そしてそのコンセプトと基本技術がすでに 1995 年のEDA/Client で確立されていたという事実を思い起こし、その先見性と開発力に今まさらながら驚いています。

Protel DXP およびそれ以降の製品については今でもWEB サイトから、多くの情報が入手できますので興味のある方はご覧下さい。

プロテル進化論Protel から Altium Designer 6 へ
Protel DXP サポートドキュメントProtel 2004 サポートドキュメント