Altium Designer 基本セット は、Altium Designer の豊富な機能の中から、デザインエントリーに必要な機能だけを抜き出したツールです。この基本セット はPCB設計やFPGA の論理合成を他に委託することを前提としたツール構成になっており、PCB の配線機能とCAM出力機能および、FPGAの論理合成とデバッグ機能がありません。また基本セットは、他のアルティウム製品と同様にデザインエクスプローラ環境下でひとつのアプリケーションに統合されています。
Altium Designer 基本セットを使用した場合、回路図を作成したあと回路設計者自らが部品配置とデザインルールの設計を行い、後工程の PCB 配線設計と CAM 出力を外部に委託するという方法での設計分担が可能になります。この方法では、回路設計者による設計品質の管理が精密に行え、高速に動作するクリチカルな回路などでは特に効果的です。さらに、基本セットにはPCB データ及び、ガーバデータを表示するためのビューワが含まれており、設計の完了した PCB データの確認と管理を容易に行うことができます。
Altium Designer 基本セット がサポートする設計工程
Altium Designer 基本セット に含まれているツール
Altium Designer 基本セットにはPCB 設計の一部の機能とPCB の設計結果を確認するためのツールが統合されており、ツールデザインエントリーツールを中心に、回路設計者に必要な機能が凝縮されています。
(1) デザインエントリー、シミュレーション
● 回路図エディタ ● VHDLシミュレータ
● Spiceベースのアナログ/デジタル混在シミュレータ
● 回路図レベルの伝送線路シミュレータ
(2) PCB とガーバ
● 部品作成 ● 部品配置 ● デザインルール設定
● PCBレイアウトビューワ ● ガーバビューワ
Altium Designer 基本セット のデザインエントリー機能とシミュレーション
Altium Designer 基本セット ではデザインエントリ機能を中心に統合が行われています。回路図エディタをベースに、アナログ/デジタル混在回路シミュレータと VHDL シミュレータが含まれており、PCB設計とデバイス開発の双方に共用できる高い汎用性を備えています。またこの基本セットでは、OrCADD Capture Ver.7/9 の読込やAutoCAD R14 データの読み書きが可能です。
(1) 統合ライブラリ
基本セットの統合ライブラリでは、PCB フットプリント、Spiceシミュレーションモデル、
VHDL シミュレーション/シンセシス、IBIS モデルの属性が含まれています。また、PCBフットプリントデータとSpiceモデルが含まれています。このため回路図の作成段階で PCB フットプリントの絵柄を確認することができ、PCB用の部品指定の誤りを見逃すことはありません。また、Protel PCB ツールとライブラリの共用ができるため、PCB 設計プロセスとの効率的な設計分担が可能になります。
(2) PCB レイアウトデータとの整合
基本セットでは回路図上に変更をを行った場合、回路図エディタのコマンド操作操作により、PCB レイアウトを更新することができます。またクロスプロービング機能を使って、PCB と回路図との照合を容易に行うことができます。
(3) Spiceベースのアナログ/デジタル混在シミュレション
基本セットでは、シミュレーションを行う場合にも新たな回路図の作成は不要です。プリント基板用の回路図にシミュレーション用のオブジェクトと属性を追加することにより、コマンドひとつでシミュレーションを行うことができます。
(4) PCB レイアウトに取り掛かる前の伝送線路シミュレション
基本セットではPCB 設計取り掛かる前に伝送線路シミュレーションを行い、PCB上での信号の劣化を予測することができます。
(5) 回路図と VHDLの双方による FPGA 開発のサポート
基本セットでは、回路路図上のシンボルに VHDL スクリプトを割付けることにより、回路図と VHDL の混在させた回路表現ができます。これを利用して VHDL ソースの階層エディタとして使用することが可能です。
またHDLを使わず回路図から FPGA を開発することができ、Altera とXilinx のFPGA デバイスの回路図作成に必要な、セルのシンボルライブラリが含まれています。さらにFPGA デバイスを使ってボードレベルの設計を行う場合に必要な、FPGA パッケージの回路図ライブラリとフットプリントライブラリが含まれています。
(6) 外部データベースとのリンクによる最新情報の反映
基本セットではSQL や Microsoft Access、ODBC をサポートするさまざまなデータベースとのリンクにより、回路図エディタから出力するパーツリストの部品価格を最新のものに更新することができます。リンクは、回路図シンボルのプロパティフィールドに、外部のデータベーステーブルを割り付けることによって行われ、基本セット から出力するさまざまなレポートに、外部データベースの最新情報を反映させることができます。
Altium Designer 基本セット のPCB 部品配置とPCB データ確認機能
基本セットはPCB の部品配置と設計完了後のデータを確認するための機能を備えています。また基本セットはあらかじめ規定されたルールの監視下で設計を行う、ルールドリブン・コンセプトをサポートしています。基本セットでは、これらの機能を用いることにより回路設計者とPCB 設計者との間の情報伝達を完璧に行うことができます。
(1) PCBフットプリントの作成
基本セットではPCB 設計に使用するためのフットプリントを作成することができます。また、Altium Designer で作成したライブラリや、旧来のProtel PCB ツールで作成したライブラリも使用することができます。
(2) PCB 外形の作成と部品配置
基本セットではPCB の外形と部品の配置が可能でず。クリチカルな回路では部品の配置が動作に大きな影響を及ぼします。このような場合には、部品配置を行った後 PCB 設計者に基板設計を委託する事により、PCB の特性を管理することが容易になります。
(3) デザインルール設定
基本セットでは、ルールドリブンのコンセプトに基づく豊富なデザインルール設定が可能です。Protel と同一のパラメータを備えており、PCB 設計の品質を管理するためのデザインルールを緻密に設定することができます。
(4) Wizard
基本セットにはさまざまなな種類のWizard が用意されており、順に表示されるダイアログボックスの指示に沿って入力を行うだけで、複雑な設定や編集作業を完了させることができます。基板外形と設計条件の初期設定を行うBoard Wizard フットプリントを自動的に作成するCreate New Component Wizard、デザインルールの設定を簡素化するDesign rule Wizard などが用意されています。
PCB 設計段階では手間にかかる繰り返し作業が多く、基本セットに用意されたWizard を利用することによって設計者の負担を軽減することができます。
(5) PCBデータの確認機能
基本セットには設計の終わったPCB のデータを表示可能な、PCB ビューワと、ガーバビューワを備えています。基本セットに用意されたこれらのビューワにより、設計後データの確認と管理、およびドキュメントの作成を効率的に行うことができます。
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